2005年8月28日日曜日

グース

皆様、お久しぶりです。

1ヶ月の予定が、2ヶ月もかかってしまい、申し訳ありませんでした。

肝心の休んだ理由ですが、今もって終わっていません。

しかし、今私がこのコラムを書かなければならないと感じ、再開した次第です。


私事ですが、長年会っていない古い友人が、ある罪を犯して捕まりました。

夢を一直線に追いかけるその友人は、私にとっての目標のような存在でした。

「でした」ではないですね、「今も」です。

なぜ友人が罪を犯したのか、なぜ友人が誘惑に勝てなかったのか、話す手だてがない今は全く分かりません。きっとそれを知るのは何年か先になることでしょう。

ただ私は、その友人のかつての行動に勇気を貰いました。時々テレビに映る姿を見ては、自分のことのように嬉しく思っていたのです。

そんな彼が罪を犯しました。

なぜでしょう?

いや、「なぜ」は大事ではないのです。

理由を追及したとて、「今」は変えられません。

「これから」が大事なのです。

きっと彼は罪を償ったあとも、世間の冷たい目に曝されるでしょう。

回りが全て敵に見えてしまうでしょう。

でもそれは違うのです。

あなたには両親がいて、かつて夢を語り合った友が居るのです。

その存在を忘れないで下さい。頼れる人は必ず身近にいます。

そして私は、いつでもあなたの力になりたい、そう思っています。

夢を追い続ける一人の友人として、待っています。

罪を償ったあとも、きっと彼は「夢」を捨てては生きられないでしょう。

しかし罪を償ったからと言っても、もう戻れません。

彼の侵した行動が、ひとつの夢を永遠に叶わないものとしてしまったのですから。

でも思い出して下さい。

映画の話をする度に瞳を輝かせていた、あの少年時代を。


今回のコラムは、その友人に捧げます。


この映画は一人の少女が「母の死」から立ち直り、ひとつの大きな目標をやり遂げる話です。

映画としては良くある題材です。実際はこんなに美しい物語だけでは終わらないはずですが、それでも観る者は己の体験のように気持ちを高揚させ、時には涙して、映画と一体になっていきます。

なぜかは大事ではないのです。

あえて言うなら、それが映画の魔法なのです。


物語を説明すると・・・

オープニング、夜、雨降るニュージーランドを走る一台の自動車。

運転席の母親と、助手席の娘「エイミー」が楽しそうに会話をしています。

しかし突然目の前に現れた暴走トレーラー。

二人の乗る自動車は横転、救出され救急車に乗せられたところでエイミーは気を失ってしまいます。

目覚めたのは病院のベットの上。10年も会っていない父が寄り添っていることに困惑します。

そして母の死を知るのです・・・

父の暮らすのはカナダ。エイミーはここで生まれ、離婚の結果母に引き取られ、この地を離れていったのです。

そんなエイミーが再びカナダで暮らすことに。

世界狭しとあちこちを回っていた生活は一変、エイミーは母の死のショックも重なり、息の詰まる日々。

しかしそんなエイミーの前にあるひとつの出来事が起きるのです。

伐採された森林から拾ってきたグースの卵が孵り、雛になったのです!

エイミーと16羽のグース達の楽しい日々は、こうして始まりを迎えます。

詳しい解説はここまでにしておきましょう。


エイミーは、鳥たちの母になることで大きな悲しみを乗り越えます。

そこには大きな責任も生まれるわけで、彼女にとってはひとつの冒険でもあります。

不器用な父と行動を共にすることによって、失われた絆も徐々に深まります。

でもここで思い出して下さい。

何が重要でしょうか?

父とグースを連れて旅立つこと?いいえ違います。鳥たちの母になること?それも違います。

そうなんです、何事にも切っ掛けがあるのです。

この映画の場合、エイミーがグースの卵を助けたことから全てが始まります。

そう、重要なのは行動を起こすことなんです。

どんなに辛いことや、どんなに悲しいことがあっても、行動を起こさなければ乗り越えることは出来ないのです。


だから思い出して下さい。

どんな時にも、動き出す勇気を忘れない下さい。


私がこの作品を初めて観たのはビデオでした。

今回はDVDを購入したのですが、ある発見をしました。

それは、カナダの自然の美しさ、です。

綺麗な夕焼けや、美しい湿地、そして風のそよぐ草原。

DVDでなければ味わえない臨場感と感動を、味わうことが出来ました。

そしてそのおかげで、以前にも増して感動の涙を流すことが出来たのです。


一生懸命に生きる人の姿は美しいものです。

どうか、この映画を観たあなたも、そのことを忘れないで下さい。

そして、この映画が、あなたの忘れかけていた夢を思い出させてくれることを願います。


さて、感動作の余韻にひたっている皆様、大変申し訳ございません。

次回は思いっきり趣向を変えて、ホラー映画をお贈りします。

でもただのホラーでは終わりませんよ。

きっとあなたを引き込んでくれることでしょう。


次回は、最近マンネリ気味と言われているホラーの中では異色な作品、「TATARI タタリ」です。

レンタル店にも在庫はあるはずですし、DVDは現在2000円の低価格で再発売中です。

大いにネタバレしながらコラムを書きたいと思っていますので、是非是非ご覧になってから、このコラムに挑んで下さい!

9月末にまたお会いしましょう!


それでは、また!


1996年アメリカ映画 106分

監督     キャロル・バラード

脚本     ロバート・ロダット

       ビンス・マックイン

原案     ビル・リッシュマン

音楽     マーク・アイシャム

出演     アンナ・パキン ジェフ・ダニエルズ ダナ・デラニー テリー・キニー