2005年11月12日土曜日

TATARI〜タタリ〜

すっかりご無沙汰しています、kiyohikoです。

まず、9月末の予定の更新が、大幅に遅れた事をお詫び致します。

この夏から秋にかけては、個人的に色々な出来事があって忙しかったのですが、それもやっと一段落。

これからは、月2回の更新に専念出来そうです。

この場を借りて、改めて皆様に、お詫び申し上げます。そして、これからもよろしくお願い致します。


それでは本編に入りましょう。

この映画は、ここ数年の定番とも言えるリメイク映画です。

元ネタの映画は「地獄へとつづく部屋」。1959年、まだモノクロ映画が主流の時代です。

オリジナルの監督はウィリアム・キャッスル。「TATARI」をご覧になった皆さん、何か気づかれませんでしたか?

そう、この映画の製作、「ダークキャッスル」の名前の由来でもあるのです。

DVDに収録されている特典映像から、この監督が斬新な仕掛けで人々を驚かせていた事が分かります。詳しい事は、DVDをご覧頂くとしましょう。

リメイクといえども様々なパターンが存在するのは、既に皆様もご存じでしょう。

最近の流行は、日本のホラーをハリウッドでリメイク、しかも同じ監督が努めるというパターン。

アニメの日本から、ホラーの日本へと進化しているようです。

なぜ日本のホラーがこれだけ受け入れられるかは、大きな理由があります。

映画館の音響の進化と共に、映画は体験する娯楽へと進化していきました。

そして音響の更なる進化に合わせるように、より強い刺激を求めるようになっていくのです。

その結果はどうでしょう?

全てが、とは言いませんが、単純に楽しむだけの娯楽としては良いものでも映画としての質は?その様な作品が増えてしまったのです。

そして刺激に頼りすぎたが為に、物語が置き去りになってしまったのも事実です。

いつしか、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなってしまったわけです。

その点日本のホラー映画はどうでしょう?いや、この場合はホラーと言わない方が良いかも知れませんね。

日本にも、ただ刺激を求めただけの映画もあるわけですから。

日本の恐怖映画には、陰と陽がはっきりと存在しています。

そしてスクリーンに映らなくても、常に感じる「気配」、物語の奥底に秘められた悲しい運命や、性。

その全てが、観客の想像力を掻き立てて、ただその場でだけ驚く映画ではなく、引きずる恐怖を心に残してくれるのです。

静かでも驚かされたり、背筋がゾクッとするのには、そんな理由があるからだ、と私は思います。

きっと欧米でも、そのような恐怖感はあったはずです。

語り継がれた伝説や、幽霊話などがそうでしょう。

でも、いつしか文明の波に押されて、どこかに忘れてしまったのでしょうね。

恐らくアメリカの映画製作サイドは、日本の恐怖映画のそんな魅力を見つけ、もう恐怖の原点に返ろうとしているのかも知れません。

そう、「歴史」は繰り返すのですから・・・


さて、簡単に物語を説明しましょう。

恐怖をプロデュースするプロであるブライスは、妻の誕生日を祝う為に、あるサプライズを仕掛けます。

断崖絶壁の丘の上にある、いわくつきの「恐怖の館」を借りて、一晩限りのパーティーです。

もちろん妻は、そのパーティーの事は知っていますし、口も挟んでいます。

しかし二人には不穏な空気。

そう、不仲で殺し合ってもおかしくない、離婚寸前の夫婦なのです。

騙し、騙され、どこが本心なのか分からないくらいにドロドロの夫婦が、普通のサプライズで終わるはずがありません。夫は妻を恐怖に陥れようとしますし、妻は夫を騙して立場を逆転させようと企んでいます。

そんな二人が選んだ場所には、ある悲しい過去がありました。

かつて人体実験が秘密裏に行われ、氾濫を起こした精神異常を来した患者達により、虐殺と火災で闇に葬られた病院だったのです。

この館に集められたのは、初対面の4人と、館の持ち主と、ブライズ夫妻。

窓という窓、全てが、逃走防止用の鉄扉でふさがれた瞬間、6人の運命は、狂い始めます。

それは、全てを操って驚かせるはずのブライズ夫妻にまでも襲いかかる事になるのです・・・

どこまでが本当で、どこまでが嘘か?そして次は何が起こるのか?


オリジナルに近く、単純な物語ながらも、最新の特撮技術を上手く取り入れた飽きの来させない映画に仕上がっています。


いかがでしたか?どぎつすぎる映像も多少はありますが、喧しいだけのホラー映画を見飽きた方には、ちょっとした刺激になりませんでしたか?

たまには、こんな映画も良いでしょ?


さて、次回は11月末の更新予定です。

取り上げる作品は、「ストリート・オブ・ファイヤー」。

ご存じの方もいるかも知れませんね?

「フットルース」と同時期に公開されて、共に音楽映画として比較されていましたし、この映画の主題歌は、日本語の歌詞を付けてTVドラマの主題歌になった事もあるのです。

その作品は何かって?

それは、次回のコラムまでお楽しみに!!

でも映画を観たら、きっと思い出すはずですよ。


それでは、また!


1999年アメリカ映画  93分

製作 ロバート・ゼメキス

ジョエル・シルバー

監督   ウィリアム・マーロン

脚本   ディック・ビーブ

音楽   ドン・デイビス

出演   ジェフリー・ラッシュ ファムケ・ヤンセン テイ・ディグス アリ・ラーター ブリジット・ウィルソン ピーター・ギャラガー クリス・カッテン