2007年10月7日日曜日

M:I:3(ミッション:インポッシブル3)

10月に入って、やっと秋らしくなってきましたね。皆さん、体調はいかがですか?

私は風邪を引く事もなく、絶好調。ちょっと腰が痛いですが、これは職業病みたいなものと思っています。

さて、先々週に続いて土曜日の予定も大幅に狂ってしまい、結局本広監督の舞台は観に行けませんでした。

そのチケットは映画に詳しい知人に譲ったので、ひょっとするとそちらで作品を紹介していただけるかもしれません。その際にはこちらのHPでお知らせ致しますので、よろしくお願い致します。


この直前の「おしらせ」からずいぶんと時間が空いてしまったのには理由があります。

勘の鋭い方は、空いた時間から推理して既にお気づきかもしれませんね。

そうです。昨晩「フラガール」が地上波初放映されたのです。

既に10回以上見ているにもかかわらず、結局最初から最後まで観るはめになってしまいました。

途中に何度もCMを挟んで、感動の度合いが薄れるかな?と心配していたのですが、無駄でしたね(笑)

いつもの場面で、涙がポロポロ。

そしてラストでまた幸せな気分を味わう事が出来ました。

ところで皆さんは、「フラガール」のどの場面で泣きますか?

私は山程あります。

まず早苗とガールズとの別れの場面。まどか先生の一見素っ気ない態度が逆に涙腺を刺激して、早苗の台詞でポロポロこぼれてしまいます。

それからその直後、紀美子と早苗の「じゃぁな!」だけの別れの場面。分かり合う親友はこれで成立してしまうんだな、と思いつつも涙。

次は小百合の父の訃報を知らされる場面。

自分の父ではないと言い聞かせる為に、手鏡を見ながら必死に笑顔を作ろうとしている複雑な表情。

あの演技にはすっかり引き込まれてしまいました。

次に「踊らせてくんちぇ」の台詞。手鏡に続いてのダブルパンチで、もうボロボロです。

それから七坑区世話所に戻って、父の死を聞かされた直後の小百合の絶叫に近い嗚咽。

ダメですねぇ・・・思い出しただけでも涙が出てきそうで。

えっ?小百合ばっかり?しずちゃんに恋をしているのか?って?


そうかもしれませんね(笑)


それはともかく、しずちゃんの演技は素晴らしいと思います。そしてほぼ素人に近い彼女を起用し、ここまで引立てた監督に敬意を表します。

最後は「ストーブ、貸してくんちぇ」の台詞。なんででしょうね、なぜだか涙が溢れるんです。

母娘の計り知れない愛情と言うか、一山一家の絆の強さを感じると言うか・・・

そのロケ地を訪れた事を差し引いても、ここはかなりのお気に入りのシーンです。


だいぶ脱線してしまいましたね。そろそろ本題に戻りましょうか。


今回お贈りする「ミッション:インポッシブル3」(以下 M:I:3)は世界各国で大ヒットを記録しているシリーズ作品の第3弾です。前2作はTV放映もされているので既にご存知だとは思いますが、ここで簡単に前2作の紹介を。

1作目は巨匠ブライアン・デ・パルマを監督に迎え、それまでのスパイ映画に敬意を払いつつも迫力あるアクションシーンを取り入れた正統派スパイ映画。

2作目はハリウッドで大成功をおさめた監督ジョン・ウーの映画への美学を取り入れ、それまでとは180度違った切り口のアクション大作。「それじゃスパイじゃないだろう?」と言う突っ込みも多くありました。けれど私は、アクション娯楽作品として非常に好きな作品です。

両作品でのスパイの描かれ方があまりにも違いすぎる為に、1作目は好きだが2作目は嫌い、と言う拒絶反応を生んでしまった原因でもあります。このあたりは国によって違いますが、「M:I:3」の各国での興行収入にも影響していると思われます。

でも、どれが好きかと聞かれると、私はやはり1作目です。サントラの使われ方が特に気に入っていますが、他にもいくつか理由があります。あえてひとつだけ挙げると、私の好きな俳優が出演していると言うところでしょうか?


それは誰かって?


こちらをご覧下さい。


両作が世界各国で大成功をおさめ、当然ながら次回作への期待が高まります。

そして何度か監督候補が噂(その中にはジョン・ウーの名も)に流れた後、「M:I:3」が誕生します。


M:I:3」の監督はJJ・エイブラムス。TVでのめざましい活躍を買われ、今回が映画初監督です。

私は未見ですが「ロスト」や「エイリアス」と言う大ヒットシリーズで監督を務めています。

今回、突然この作品をお贈りする事となったので物語の紹介は省きますが、この作品は映画や小説で時々使われる面白い手法を取っています。

これは「現役を引退した主人公」と言う設定が大きく影響していると思われるのですが、オープニングがオープニングではないのです。

まずクライマックスに近いシーンを見せているのです。

思わせぶりな始まりです。と同時に、オープニングで興味を引きつける為にこの映画としては最適だったとも言えます。

アクションがどれだけ派手でも、この作品はあくまでスパイ映画です。例えば、オープニングのあのシーンをカットして、いきなりホームパーティーから始まったとします。それでは全く緊張感に欠けてしまいます。

では、他の大きな事件を持ってくるのは?本編と関係ないシーンは時間の無駄ですよね。

故に、必然的に生まれたオープニングと言えるのではないでしょうか?

もちろん、あれだけの迫力を見せつけられたら、その後の展開が気になって仕方がありません。それだけではありません。そのシーンに到達したとき「そうだったのか!」と言う発見も生まれるのです。

どうです?実に良く考え抜いたオープニングだとは思いませんか?

1時間と言う限られた時間に出来るだけ多くの要素を詰め込むTVで鍛えられた監督が、前2作を意識して、それとは全く違うインパクトを与えたと言っても過言ではありません。


その後は、スパイ映画のタブーとも言える部分に取り組んでいます。

愛のある二重生活です。

愛する人を護りたいが為につく嘘ですが、それが主人公に次々と苦悩を与えます。

「スパイとはクール」と言う昔ながらの図式に挑戦して、スパイを一般人と同じ愛情を持つ人間として描いているのです。

愛がファッションに近い「007」とは対極を成しています。

この恋愛が、物語の最後まで大切な鍵となる訳ですが、と同時にこの映画をつまらないと感じてしまった人へ与えてしまった「隙」でもあるのです。


でもここでよく考えてみてください。

あなたは本当のスパイを見た事がありますか?

もちろん、私はありませんし、皆さんもないはずです。

つまり、スパイ映画に正解はないと言う事です。

あくまでも映画であって、娯楽なのです。

だから、心や愛情は普通の人間として描いていても、決しておかしい事ではないのです。

だからこの「M:I:3」の監督は、それまであまり触れたがらなかったタブーに、あえて挑戦したわけですね。


どうです?


そう思うと、この映画への見方が変わってきませんか?


しばらく前の話になりますが、ある国の諜報機関が職員をネット上で一般公募と言う快挙に出て話題になった事があります。

それまでの「日陰」の存在を否定しかねないインパクトがありました。

様々な番組でその新聞記事へのコメントを放送していましたが、どのコメントにも言えるのは「時代が変わった」と言う内容でした。

侍と時代劇や、ガンマンと西部劇など、過去に存在したものへの印象は変えようがありません。

しかしスパイは今も存在し、現在も世界のどこかでひっそりと活躍しているのです。


となれば、JJ・エイブラムス監督の、恋愛を主軸に追いたスパイ映画も「あり」だとは思えませんか?

ひょっとしたら、主人公イーサン・ハントの様に恋愛に苦悩するスパイが実在するかもしれませんよ・・・


きっとまだまだ続くであろうこの「ミッションインポッシブル」シリーズですが、ひとつ不安な要素があります。

それはトム・クルーズと映画会社の契約の問題です。

これまで強力なタッグを組んで造り上げてきたのですが、様々な問題から契約を更新しなかったのです。

つまり「ミッションインポッシブル」の次回作にトム・クルーズが登場しない可能性が非常に高いのです。

別の映画会社と契約した為に、そちらで造れるかはかなり難しいと言わざるを得ません。

でも私は、必ず次回作は造られると信じています。

トム・クルーズがこの作品の映画化権を取らなければ、シリーズはあり得なかった訳ですし、それ以降の彼の成功もここまで輝かしいものにはならなかったはずです。

だから私は信じたいと思います。

でも、これだけは言えるかもしれません。

出演出来れば、まさにミッションインポッシブルかも?


さて次回は日本映画史に残るSF大作をお贈りしたいと思います。

その作品名は「復活の日」。

原作はSF小説の大御所、小松左京さん。

監督は、今は亡き深作欣二さん。

角川映画が世界を意識して造り上げた、超大作です。

残念ながらこの映画が公開されて27年経つ今でも、同じ脅威が世界を包んでいるのが事実です。

そのあたりを、他の「世界を脅かす脅威」を描いた作品と比較しながら、お贈りして行きたいと思います。


来週には間違いなく更新出来るはずですので、お楽しみに!


それでは、また!!



映画データ


2006年アメリカ映画 125分


製作 トム・クルーズ ポーラ・ワグナー

監督 JJ・エイブラムス

脚本 アレックス・カーツマン ロベルト・オーチー JJ・エイブラムス

音楽 マイケル・ジアッキノ

出演 トム・クルーズ フィリップ・シーモア・ホフマン ミシェル・モナハン ヴィング・レイムス ジョナサン・リス・マイヤーズ マギー・Q ローレンス・フィッシュバーン 他

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