2004年10月3日日曜日

ミリイ 少年は空を飛んだ

あなたは心に傷を背負っていますか?

そして少年や少女でなくなった今でも夢を信じていますか?

どちらもYesなら、この映画を試してみて下さい。

その上で、判断をして欲しいのです。

そう、何事も行動しなければ始まらないし、乗り越えられないのですから。


日本でこの映画は、しばらくの間幻の作品になっていました。

当時ビデオ業界は急成長を遂げ、新興企業が既存の会社を吸収したり、映画とはおおよそ関係のない企業がビデオビジネスに乗り出したりしていて、この映画ものその例外ではなかったのです。

松竹映画がFOXビデオと提携し、発売された作品だったのです。

しかし提携はすぐに解消、大作でないことも災いしてレンタル以外では長らく観ることが出来ず、在庫を持っている店もさほど多くなかったことが、幻の作品にしてしまった大きな理由だったのです。

その時代に、この名作に出逢えた私は運が良かったのかもしれません。


この作品はどこか「E.T.」に似ています。しかしUFOや宇宙人が出てこない分、現実的といえるかもしれません。そしてアニメ「ピーターパン」にも通じるものがあります。

しかし悲しいかな、人の視点は様々。

ちょっとでも無理なことを平気で描こうものなら、「つまらない」とか「ふざけている」と思ってしまう人が多いのも事実。

そんな人に、この映画はお薦め出来ません。


ストーリーは・・・

父親の死から立ち直れない、娘ミリイと弟、そして母。3人が新しい街へ越してきたことから始まります。

隣の家には不思議な雰囲気の漂う無口な少年エリック。

ミリイの通う学校、同じクラスにエリックがいたことから、二人は少しずつ接近していきます。

しかしエリックには、乗り越えられない大きな障害があったのです。

「自閉症」と「両親との死別」。殻に閉じこもっていても、自分ではどうしようも出来ない。そして会いたくても永遠に会うことが出来ない。二つの悲しみがエリックを取り巻いていたのです。

それでも健気に接するミリイに、エリックは次第に心を開いていきます。

そしてエリックもミリイたちの傷を癒し、少しずつ状況は好転していくのですが・・・

おそらくご覧になっていない方が多いと思いますので、これ以上は語らないことにします。

是非、ご覧になって下さい。

荒んだ心が、少年や少女だった頃のさわやかな心に、ほんの少しだけ戻れるかもしれませんよ。


DVDに収録されている監督の解説では、この映画のテーマは「救済」と「苦境を乗り切ること」だそうです。

しばらくの間、精神的にも経済的にも苦しい生活をしていた当時に出会ったから共感出来たとばかり思っていましたが、このコメントを書くために数年ぶりに観て、間違いだったことに気づきました。

当時は泣かなかったのですが、今回私は不覚にも3回程泣かされてしまいました。

「今」でなければ判らない何かが、この映画にはあったのかもしれません。

そして、こう思いました。

古い映画を、見返すことも良いものだ、と。

今でなければ判らない「何か」に出会えるかもしれないのですから。


あなたは好きな映画を、何年も観ていなかったりしませんか?

もしそうなら、DVDが安く購入出来る今、是非買っておくべきだと思います。

それが、本当の幻の作品になってしまう前に・・・


さて、次回ですが、その「幻の作品」になってしまうかもしれない映画です。


「ロックよ、静かに流れよ」


知っていますか?もし知らなければ、


男闘呼組を知っている方は多いのではないでしょうか?

そう、解散してしまいましたがジャニーズが鳴り物入りでデビューさせたグループです。

「ジャニーズの映画は嫌だ!」そう言って敬遠している方にこそ、この作品は見て頂きたいのです。

実話を元にした映画は、アタリが多いと思いませんか?

この作品もそんな中のひとつです。

そして、この時代の邦画に多い、メーカーの都合や版権等の複雑さから再発売されない「幻の作品」なのです。

現に有名な監督であるにもかかわらずDVDは発売されていません。

それどころか、私の記憶が正しければレンタル用としてリリースされたのみで、販売用は存在していないはずです(中古は別ですが絶対的な玉不足なので見つかる方が奇跡かもしれません)。

なので、昔から営業している近所のレンタルビデオ屋に足を運んで探してみて下さい。


・・・ひょっとすると私も観ることが出来ないかもしれませんが(笑)

もしその場合は、あらためて別の作品を紹介致します。


それでは、また。


1986年アメリカ映画 108分

監督 ニック・キャッスル

主演 ルーシー・ディキンズ ジェイ・アンダーウッド

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