子供ではないが、大人でもない。子供として見られることを嫌うが、大人としては見てもらえない。
誰もが通り過ぎたそんな日々。
あなたはどんな風に感じて、その時期を過ごしましたか?
そして、今その世代を生きている人に、理解のある接し方をしていますか?
自分がされて嫌だった事を、気づかぬ内にしていませんか?
この映画は多感な時代の男の友情を描いています。
今あらためて見直すと、どこか荒削りな印象のある造りは、この当時としては当たり前だったのかもしれません。
最近の映画はCGを駆使し、天気や風景、そして色合いを簡単に、意図したものへと変更が出来ます。
しかしこの映画は、そんな技術のまだ無い時代。たった16年前だというのに。
でも劇中に登場するお札は「夏目漱石」や「新渡戸稲造」だったりします。
私の中で、80年代後半からバブルがはじける90年代前半は、過激に進化していく時代。見知らぬ場所を舞台にしていても懐かしさを感じるのは、まさに同じ時代に主人公たちと同年代を生きたからではないかと思います。
話が逸れてしまいましたが、劇中に登場するいくつもの素晴らしい風景。これは最近の技術では簡単に作ることが出来ます。
しかし、この当時はロケ頼み。しかも天気次第。
なのに素晴らしい風景が、印象的なシーンを上手く演出しています。
私が特に忘れられないのは、俊介とミネさが出会ったその日に仲良くなり、二人並んで帰る夕焼けの道。
それから、東京でのライブ観賞後、4人で迎えた朝焼け前の東京。
どちらも、その瞬間の空気と、登場人物の気持ちを間接的に教えてくれて、映画を盛り上げています。
最近の映画には、この2点が足りないのではないでしょうか?
台詞やCGにばかり頼って、心のこもった「想像力」を掻き立てる映像が少ない気がします。
もう一度、「観て気持ちを感じる」と言う原点に立ち返った映画を観たくなりました。
それも現代の技術をフルに活用した映画を、です。
どれだけ素晴らしい映画が出来るでしょうか?
きっと世界に通じる傑作が生まれるような気がします。
この映画の舞台は、長野県松本市。
山に囲まれた、歴史ある街です。
歴史ある場所で必ず起こる、地元民と新参者のトラブル。
それを反映するように転校生の俊介は、ミネさと初日からトラブルになり、殴り合いの喧嘩から理解し合うようになります。
ミネさの親友トンダは、そんな二人を快く思いません。
が、ある日トモを助けているトンダを2人が助けたことにより、4人に友情が生まれるのです。
ロックバンド「クライム」を通じて絆を深めていく3人と、助けられた1人。
レコードショップでの事件が4人の絆を更に深めていき、東京でライブを観たことが4人に大きな夢を抱かせます。
「ロックをやる!」
酒もタバコもやるし、バイクも乗る。でも決して不良ではない4人に教師たちは、一方的で良い顔をしません。
しかしそんな目も気にせず4人はバイトにせいを出し、少しずつ楽器を買い揃えていきます。
そんなある日ミネさがこんな新聞記事を見つけます。
「郷土賞」
賞金が目当てという不純な動機ではありましたが、原稿用紙に起こすため世間に対する不満を互いに語り合うことによって、4人はやれば出来ると言うことを知るのです。
やがて、憧れのクライムのデビュー記念日に合わせて、自分たちの初ライブを開くためによりいっそう頑張るのですが・・・
DVDは無く、ビデオ自体も置いてあるレンタル店が少ない作品ではありますが、自身が懐かしさを感じるため、そして多感な世代の少年少女に接するための切っ掛けのひとつとして、是非ご覧になって頂きたいと思います。
さて、懐かしくマイナーな作品が続いてしまったので、次回は最近の作品を選んでみました。
日本では年に1本あるかないかというSF超大作であり、少年時代の胸の高鳴りを感じられる、そして私の中では邦画BEST5に入る、山崎貴監督作品「ジュブナイル」です。
レンタルで簡単に見ることが出来ますので、是非ご覧になって下さい。
それでは、また。
1988年日本映画 100分
監督 長崎俊一
主演 岡本健一 成田昭次 高橋一也 前田耕陽 あべ静江
0 件のコメント:
コメントを投稿