2006年6月8日木曜日

スターウォーズ エピソード4・5・6

まずは前々回のコラム「覚え書き」で紹介した、すずきじゅんいち監督作品「秋桜」ですが、発売元のvapの通販サイトに僅かながら在庫があります。もし興味のある方は、お早めにご購入ください。税込3980円となっております。

保存などを考えると本来ならDVDが良いのですが、アメリカからの通販となってしまい購入時の英文等の面倒臭さがあるのと、ビデオと画質が変わらない(むしろビデオの方が良いかも知れません)のでビデオの方をお薦めします。


ここでひとつお断りがあります。

なるべく正確を期する為に、当時の記憶を元にネットや書籍等で調べながら以下のコラムを書いたのですが、一部不正確な記述があるかも知れません。

もしお気づきの方は、コメントの方でご指摘頂けると幸いです。

それではコラム本編に入りましょう。

今回はいっぺんに3作品、しかも後に公開となった特別編も加えると膨大な数の情報量となるので、映画データーは監督・製作・脚本・音楽・主要登場人物だけの紹介とさせて下さい。

詳しいデーターをお知りになりたい方は、ネット上で豊富に出回っているのでそちらを参考になさることをお薦めします。

またストーリーに関しては、知らない人がいない程有名な作品ですので、それぞれの大まかな流れのみを紹介したいと思います。

まずはクラシック3部作の1番目、作品中の歴史順で行くと4番目の作品「新たなる希望」

砂漠の惑星に伯父伯母と共に住むルーク青年が、憧れの宇宙へ飛び立ち活躍・成長していくという物語です。

次の作品は「帝国の逆襲」

劇的勝利を収めた共和国軍が、帝国軍の反逆を受け、一進一退を繰り返しながらそれぞれの運命の歯車が狂っていく様子を描いた物語です。

最後の作品は「ジェダイの復讐」

この副題に関してはちょっとした経緯があるのですが、それは後程DVDの解説を行う時に説明しましょう。

離ればなれになった仲間達がルークを中心に集まり、敵の銀河帝国皇帝とダースベイダーを倒す為、最後の戦いをするという物語。ここには師匠と弟子、そして父と息子の宿命と葛藤が描かれ、クラシック3部作の本題とも言える「絆の物語」を見事に締めくくっています。

ちょっと逸れた話題になってしまいますが、日本で最初にTV放映された「新たなる希望」は私にとって忘れられない内容でした。

今でこそ当たり前に行われている、吹替に有名芸能人を起用すると言う画期的な試みが行われたのです。もちろん、スターウォーズ好きの間では、かなりの不評でした。

それなりに上手く吹替をしていたので、ここでその方達の名前に触れるのは気がひけます。気になる方は検索をしてみてください。ファンの間ではあまりにも有名な出来事なので、きっと見つかると思いますよ。


さてこのシリーズには、ある特徴があります。

それは全6作品の中で、一番最初に公開されたのが4番目の作品であると言うこと。

もちろん本来なら1番目を最初に持って来たかったのでしょうが、1977年当時の技術で制作でき、尚かつ単体でも判りやすい内容のものが4番目の作品であったと言うことから一番最初になったようです。

しかしやはり妥協して諦めた映像なども多かったようで、これが後の「特別編」に繋がります。

ややこしくなる前に、ここでこの映画のいくつか有るバージョンを紹介したいと思います。

まずは最初に公開された3部作。(ただしリバイバル上映時から初作には「a new hope(新たなる希望)」の副題が付きます)

何度かのビデオ・LD化を経て、THX版が発売。これは以前「E.T.」で触れた通り、痛みのあるオリジナルフィルムをデジタル処理し、音声も含めて綺麗にしたものです。

そして1番目の作品(ファントムメナス)の製作決定後、クラシック3部作と呼ばれる4〜6番目の作品に、当時の技術では出来なかったシーンの追加や音声・台詞の変更、新3部作に必要なシーンの付け足しを施した「特別編3部作」が制作されます。

1・2作目()が公開され、3作目(シスの逆襲)の製作も佳境に入った頃、DVDが製作されます。

このDVDの基本は「特別編」なのですが、若干の修正が施されています。

特に有名なのは、6作目「ジェダイの復讐」のラストシーン。フォースになったオビ・ワンとヨーダの隣に立つアナキン・スカイウォーカー(ダースベーダー)が、新3部作の役者に置き換わっているということでしょう。

それからこれは日本だけに該当する事なのですが、6作目の副題が変更されています。

「ジェダイの復讐」から「ジェダイの帰還」に変更になっているのです。

この副題、6作目の製作に入る前に発表された次回作の副題を直訳したものなのですが、その副題がジェダイの騎士にそぐわないという声を受けて、本国などでは発表直後に変更されていたのです。しかし日本では、「復讐」と言う言葉である方が一般ウケするなどの理由でそのままになってしまったとのことです。

ですから、本国では当初の副題「Revenge of the JEDI」のポスターが希少価値も手伝い、かなりの高価格で取引されていたようです。

次に、これは他の大作にも見られるものなのですが、DVDのみの面白い仕掛けがあります。

このシリーズの代表的な特徴として、オープニングでそれまでに至る経緯を流れる字幕で紹介しているのですが、何と吹替版は、ここが日本語に変わるのです。

新3部作の1作目公開当時から劇場やDVDではそのような形になっていたのですが、これは子供達が見ても判りやすい工夫と言えますね。

余談ですが、DVDが普及し始めた頃から、吹替版の上映館数も徐々に増え、無視出来ない存在となっています。

私は時々、吹替版で見たりするのですが、映像に集中出来る利点は見逃せませんね。

吹替に抵抗のある方も、一度ご覧になることをお薦めします。


この映画と、監督ジョージ・ルーカスは、日本と深い関わりを持っています。

まず、監督のジョージ・ルーカスと言えば、コッポラ監督やスピルバーグと共に後期の黒澤映画を支えた人物です。その縁かどうかは判りませんが、オビ・ワンの当初の配役は三船敏郎さんだったのです。

この映画の中にも、日本の影響が色濃く反映されています。

まず、主人公ルークの着ている服装は、空手着によく似ています。ライトセーバーも、西洋の刀と言うよりは日本刀に近い印象を受けます。ダース・ベーダーや敵兵のストームトルーパー(白い兵隊)のマスクや衣装も戦国時代の武将達の鎧甲に似ています。

ルークの師匠ヨーダの名前は、日本映画の脚本を書かれていた依田義賢さんと言う方の名字を取ったと言われています(これに関しては監督は否定しているようですが、接点はあったようです)

そして忘れてはいけないのが、共和国の騎士「ジェダイ」の由来。「時代劇」から取ったという説もあるのです。

もう一つ忘れていました。

物語自体が、黒澤監督の「隠し砦の三悪人」からヒントを経たとも言われていますね。

どうです?かなり日本と深い関わりがあると言うことが、ここで判ったでしょうか?


この映画が公開された1977年から1983年と言えば、まだCGが映画には使用されていなかった時代。

(「トロン」と言う例外はありますが・・・)

当然、実在しないものは実物大のセットを造ったり、ミニチュアを造ったりと、かなり手間のかかっていました。

手間がかかったのはそれだけではなく、例えばものを浮かせる為に合成などが施されるのですが、その合成も今から比べると決して満足の出来るものではありませんでした。後の特別編で合成が修正されていることからも伺えます。

それ故の「苦労」のシーンも多々発見することができます。

例えば、小型の宇宙船がゆっくりと浮上するシーンなどはその宇宙船をが画面からはみ出すような枠で写されています。これは恐らく、横からフォークリフトのようなもので持ち上げているのでしょう。

「帝国の逆襲」の雪の中での戦いに出て来た四足歩行の兵器は、コマ撮りです。

とてつもない時間と手間がかかっているおかげで重量感のある仕上がりを見せていますが、これも今なら間違いなくCGでしょう。

しかし面白いもので、それらの欠点を「味」として生かせるものは、後の特別編でもそのままの素材で使用されています。

四足歩行の兵器や、ヨーダなどのパペット類などがその代表です。


そんな様々な苦労と制約の上で成り立っていたスターウォーズシリーズですが、新3部作では状況が変わります。

潤沢な製作資金と、ルーカスの映画で育ち、望んで集まった才能ある様々な人材、技術の進歩。

ほぼ全編に渡ってCGが使われ、役者は何もないスタジオで見えるように演技するという弊害も生まれましたが、とにかくその完成度たるや、最高と言っても過言ではありません。

一方、そんな新3部作をアニメーション映画と揶揄する人も居ますが、私はそうは思いません。

現実では存在しないものを、さもそこにあるかのように見せて、実在する人物と合成しているのですから、人間以外がCGだとしても、それは実写映画だと言えると思います。

新3部作のオープニングでも前シリーズ同様、配給会社20世紀FOXのロゴが表示されますが、これは「配給」しているだけと言うのも意外と知られていない事実です。

実は、クラシック3部作1作目の撮影前に、ある契約をルーカスは交わしていたのです。

「続編の権利と商品化・出版権の取得」

これは先見の明があったと言えます。

この莫大な売り上げがルーカスの会社を潤し、膨大な予算のかかるはずである新3部作の映画製作資金になったのですから。

そう、スターウォーズ・シリーズは、世界最大・最高ヒットのインディーズ映画なのです。


この映画で忘れてはならない、もう一人の存在があります。

それは、全6作に渡って音楽を造った作曲家ジョン・ウィリアムスです。

名前を知らなくても、絶対にどこかでその音楽を耳にしたことがある程、有名な作曲家です。

「ジョーズ」「スーパーマン(旧シリーズ)」「未知との遭遇」「E.T.」等々。

映画以外でもオリンピックのテーマ曲なども書かれています。

そしてジョン・ウィリアムスの名を、映画音楽を気にしない一般人にまで知らしめたのがこのスターウォーズだと言うことも見逃せません。

それまで映画音楽と言えば、映画のおまけのような存在でしかなく、時々盛り上げる為の飾りでした。

しかしスターウォーズは違います。

主人公の気持ちを表したり、激しい戦いを気持ちまでも助長するような荒々しい旋律だったり、コミカルな動きに対しては優しさの漂う旋律だったり。

映画を見るものの気持ちを音楽で表現し、観る者の心を操っているのです。

スターウォーズ以降、映画音楽の扱いが変わったと言えます。

私が個人的にこのスターウォーズの音楽が好きな理由のひとつに、エンドロールに流れる組曲があります。

皆さんはミュージカルなどの舞台をご覧になったことはありますでしょうか?

終わった直後に、その興奮を冷めさせないような賑やかな旋律で始まり、登場人物の紹介をしながら、全編で使用された音楽をつなぎ合わせ、様々なシーンを思い起こさてる手法です。カーテンコールと言われるものですね。

そして最後に壮大な終わり方をして、興奮そのままに後への期待を繋ぐ効果をももたらしています。

画面に出てくるのは文字だけですが、観客の心の中には、ミュージカルのカーテンコールのように登場人物が浮かんでくるのです。


さてあなたは、クラシック3部作の中ではどれがお気に入りでしょうか?

私は2作目である「帝国の逆襲」です。

物語の合間という難しい位置にありながら、登場人物それぞれの苦悩を表現し、どん底まで描きながら、次への期待を匂わせている、そんなところに惚れています。

同様に、新3部作も2作目が好きです。

あなたはどれがお気に入りですか?


さてさて、他にも書きたいことは山程あるのですが、いずれ新3部作を紹介する時まで取っておくこととします。


さて次回は、異色SF映画「スターシップ・トゥルーパーズ」を、原作との違いにこだわって紹介したいと思います。

それから、その次の予告もここでしておきます。

昨年の邦画の大ヒット作「Always 三丁目の夕日」です。

この作品に関しては、6月9日に発売&レンタル開始となります。

様々なネタバレを含んで書きたいと思いますので、是非是非ご覧になってから望んで下さい。


それでは、また!!


スターウォーズ エピソード4 新たなる希望

1977年(特別編は1997年) アメリカ映画121分(特別編は126分)

監督・製作・脚本 ジョージ・ルーカス


スターウォーズ エピソード5 帝国の逆襲

1980年(特別編は1997年) アメリカ映画124分(特別編は129分)

監督 アービン・カーシュナー

製作 ゲイリー・カーツ

脚本 リー・ブラケット ローレンス・カズダン


スターウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還(初版・特別版劇場公開時邦題は「ジェダイの復讐」)

1983年(特別編は1997年) アメリカ映画132分(特別編は136分)

監督 リチャード・マーカンド

製作 ハワード・カザンシャン

脚本 ジョージ・ルーカス ローレンス・カズダン


音楽 ジョン・ウィリアムス

出演 マーク・ハミル ハリソン・フォード キャリー・フィッシャー アンソニー・ダニエルズ ケニー・ベイカー フランク・オズ アレック・ギネス ピーター・メイヒュー イアン・マクダミード ビリー・ディー・ウィリアムス 他

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