2007年3月25日日曜日

フラガール(紹介編)

みなさん。こんにちは。

今年の花粉症は早かったですが、飛散量が少ないと言う予測通りのようで、ここしばらくは私の身の回りに居る花粉症の方も、症状が軽いようです。と言っても私の住む街は海沿いであり、杉が植林された大きな森等が近くにない為かもしれません。皆さんの花粉症は、いかがですか?

そろそろ桜が咲き始めましたね。と言っても、日本は長いので、北の方はまだまだ。

短いけど、満ち潮の波のように長い春の始まりです。


さて今回紹介する「フラガール」は、長年頼って来たひとつの大きな産業が衰退したら?と言う世界のどの街でも起こりうる問題に正面から立ち向かう人々の物語です。そして泣ける映画の定番である実話がベースになっています。

3月16日の発売以降、これまでの評価等に支えられて、大変好評をはくしています。

出来ることなら販売用を、予算に余裕があるのなら是非メモリアルボックスを買っていただきたいのですが、そこは皆さんのフトコロ次第。最近のDVD購入事情では、レンタルで見てから考えると言う方も多いようなのですが、何せ日本アカデミー賞での快挙が普段はあまりDVDを見ない方にも影響を与えていて、非常に借りづらいと聞いています。

そこで、今回の「フラガール」は2回に分けてお贈りしたいと思います。

今回は、まだご覧になっていない方の為に、映画とロケ地の紹介、それからDVDメモリアルボックスの内容紹介を、そして2回目には内容に踏み込んだネタバレ全開のコラムをお贈りします。

さらに、なかなか借りられないと言う方の為に、間に1週違う作品を挟みます。ですので2回目のコラムは4月の2週目にお贈り致しますので、ご安心ください。


「フラガール」は昨年9月23日、全国一斉に劇場公開が開始されました。

炭坑の再生物語と言う、一見地味に思われがちな内容の映画ですが、それまでの試写会や宣伝効果が非常に大きく、東宝、東映、松竹等の大手配給会社ではない作品にしては異例の10億円を超え、14億円を記録しました。しかも実質3ヶ月での記録です。

日本アカデミー賞受賞後のアンコール上映もあった為、実際はもう少し増えているかもしれません。

ちなみに2006年度邦画(アニメ含む)の興行収入では19位だそうです。

物語の舞台は昭和40年代初頭。福島県のいわき市。

江戸時代末期にこの地区で石炭が発見されて以降、最盛期には130近くの炭坑が存在した常磐炭坑。

しかし国のエネルギー政策が転換されたせいで、日本各地で閉山が相次いでいた。

常磐炭坑もその例に漏れず、徐々に炭坑の数が減っていったのである。

このまま消えていくのを待つだけなのか?

しかしこの炭坑には、他にはない大きな武器があったのです。温泉です。しかもそれを捨てていたと言うのだから、もったいない話です。

その温泉を武器に東北にハワイをつくろうと言う、とんでもない計画が持ち上がりますが、住民は「そんなの無理だろ?」とどこか他人顔。その予算を、雇用対策に回せばいいだろう?と言う声が起こるのも当然で、計画が持ち上がった当初は全く相手にされない始末。

でも、先の無い炭坑よりも、地域の雇用を考えた社長を始め経営陣の判断が正しかったのは、現在を生きる私たちが知っての通りで、常磐ハワイアンセンターはスパリゾートハワイアンズへと名を代え、バブル崩壊後の日本でも生き残った、日本でも随一の一大リゾート施設です。

この「フラガール」は、その計画が持ち上がり周囲の反対を押し切りながらも、徐々に受け入れられていく街の姿を、時に笑いを交え、時に涙を交え、描いています。


演じる役者陣は個性的な面々。舞踏学院の先生を演じる松雪泰子さんをはじめ、今や日本を代表する俳優である豊川悦司さんや、劇中の笑いには欠かせない強力な脇役である岸部一徳さん、それから1人で子供を育てた力強い母親役が印象的な富司純子さん、等等。

そして、フラガールズの彼女たちを忘れてはいけません。

フラガールズの中心である蒼井優さんをはじめ、ほぼ全員がオーディションで選ばれています。

演技にそれだけの実力を持ち合わせているからこそ選ばれたのですが、中にはダンスの経験が無いに等しい人も居た為、そのレッスンは過酷を極めたそうです。3ヶ月に及ぶ特訓の成果は、映画を見ての通りです。その特訓がどうだったのか・・・それはメモリアルボックスに収録されているメイキングをご覧いただくこととしましょう。きっと、あなたは、メイキングで涙します。

それから忘れてはならないのは、ガールズ一の大女(笑)を演じる、南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代さん。

映画成功の陰には、彼女の演技があると言っても過言ではないと、私は断言します。

特に映画中盤のあるシーンでは、彼女の演技に涙が止まらないでしょう。

この映画で、忘れてはならない存在がもうひとつあります。

それは音楽を担当されたジェイク・シマブクロさんです。

世界的にも有名なウクレレ奏者、そしてハワイ在住の日系人である彼は、意外にもこの作品が初の映画音楽です。いくつかの興味深いエピソードがあるのですが、それはここで語らずに是非メモリアルボックスをご覧いただくこととしましょう。


メモリアルボックスについて散々引っ張ってしまいましたが、それだけ「フラガール」のメモリアルボックスには購入する価値があるのです。

その内容は、シナリオの決定稿と特典ディスクが2枚。ディスクはそれぞれ2時間を超える豊富な映像量と内容で、この映画の裏側がしっかりと伝わってきます。中でも私がお勧めしたいのは、ガールズたちに密着した映像です。その苦労が手に取るように伝わって、見終える頃にはあなたもその一員になってしまったかのような錯覚を覚えることでしょう。

レンタルされてからでも決して遅くはないので、気に入られたら是非ご購入をお勧めします。

もちろんメモリアルボックスで、ですよ(笑)


さて最後になりましたが、この映画の主なロケ地は何処だと思いますか?

福島?確かに福島は多いのですが、実はちょっと違います。

元々常磐炭坑と言うのは、太平洋沿岸で茨城県の北部から福島県の南部にかけての一帯を指しています。

エンドクレジットを良く見ていただければ分かるのですが、撮影の中心は茨城県北部なのです。

炭坑住宅や、居酒屋、何度も登場する木の橋、そしてあの駅舎までもがそうなのです。

住所等の詳細こそ載っていませんが、メモリアルボックスにはロケ地についての情報もありますので、是非ご覧ください。

それから、詳しい場所を知りたい!と言う方も多いと思いますので、ちょっとだけ触れさせて下さい。

10年前と違って、今は映画の支援に自治体が乗り出して、積極的な活動を行っています。この「フラガール」も地域再生と言うテーマと観光が見事に結びついて、相乗効果を生み出しています。

なので、ネット上を探せばロケ地の詳細についての情報が山ほど見つかりますので、是非時間をかけて探してみてはいかがでしょうか?

私は、上記以外にもいくつかのロケ地の情報が分かったので、近いうちに1日かけて訪れたいと思っています。もちろん、こちらのコラムでロケ地の旅として公開する予定なので、ご期待くださいませ。


他にも日本アカデミー賞受賞等についても書きたいのですが、それはネタバレ編に譲りたいと思います。

2週間後になりますが、是非ご期待ください。そしてそれまでに、なんとかご覧いただいて、感動を分かち合いながら読んでいただければ幸いです。


さて来週ですが、「フラガール」の地域再生に似ていながらも、あまり注目されていない幻の映画をお贈りしたいと思います。


その作品の名前は「甦える大地」。


恐らく作品内容を知っている人はかなり少ないと思われます。

原作は「黒部の太陽」で有名な木本正次さん。入念な取材に基づいて書かれた小説「砂の十字架」です。

残念ながら「黒部の太陽」以外の著書はほとんど入手不可能のようで、加えてこの映画自体のビデオも存在していないのです。いや、正確に言うと、ネット上を探しても過去にビデオ化された記録が見つからないのです。

実際はどうなのか、これ以上私に確かめるすべがないのでどうしようもないのですが、運良く私の大切な知人がある知り合いを通じてこの映画のビデオを入手した為、なんとか観ることが出来そうなのです。

「黒部の太陽」は長い間、石原裕次郎ファンには存在が知られていましたが、ビデオ化はされておらず、真の幻の映画なのです。

この「甦える大地」も同様に、誰も観ることの出来ない幻の映画になりつつあります。

その内容について触れたネット上のサイトもほとんど見かけません。ましてや感想等皆無に等しいのです。

ならば、舞台となったその地域で育った私が、映画の感想を記録として残す必要があるのではないか?そう思ってのコラムなのです。


まだ観ていない段階なのではっきりとは言えませんが、地域再生の為に必要な「何か」を見つけたいと思います。


それでは、また!

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