なかなか涼しい想いをさせてくれない今年の秋ですが、みなさまお元気でしょうか?
私は今月末の2泊3日ツーリングへ向けて体調は万全ですが、相変わらず懐は寒いままです(笑)
さて、泣ける映画に弱い私ですが、先週のコラムがさらに火をつけてしまったようです。
先週書き上げた後に、2回も見返してしまい、もっともっと書きたい事がある事に気づきました。
当然、涙・涙・涙でした。
好きな映画は、何度観ても泣けるんだな、と改めて気づかされました。
この書き足りない部分は、DVD発売後にでも再び「ネタバレ編」としてお贈りしたいと思います。
今週紹介する「秋桜~コスモス~」も、そんな私のお気に入りで、泣ける映画の一つです。
今から40年程前、当時としては画期的とも言えるある手法で撮られた映画が劇場公開されました。
作品名は「こころの山脈(やまなみ)」
出演者には、今は亡き山岡久乃さんや、宇野重吉さん等、日本でも屈指の俳優を配し、製作はあの新藤兼人さんでした。
残念ながら私の手元には全く資料がないので詳しい内容はご紹介出来ませんし、ビデオも存在しないようなので、私も未見の作品です。
その映画は、次の世代を担う子供たちへ母親たちからのメッセージを込めて作られた作品だと聞きます。
「当時としては画期的」と言う表現で文頭に記しましたが、実は現在でもこのような形の映画は珍しく、40年前としては、本当の意味で画期的であり、冒険的であったと言えるでしょう。
その手法とは・・・住民自らの手で資金を集め、地元で映画を撮る事です。
一見するとフィルムコミッションに似ていますが、根本的な部分が違っています。
フィルムコミッションは映画の製作を無償で手伝う活動の事であり、基本的に作品は選べませんが、この手法は自らの手で資金を調達し、望む映画を撮って行くのです。
この手法は「もとみや方式」と呼ばれています。
「もとみや」とは、その映画を作った町の名前。福島県のほぼ中央に位置し、阿武隈川と安達太良山に囲まれた豊かな土地です。現在は合併し本宮市となりました。
なぜこのような説明をするのかと言うと、この「秋桜~コスモス~」がこの町で、しかも同じ方式で撮られた映画だからなのです。
もとみや青年会議所が活動の中心となり、協賛していただける町民や商店の手を借り、ひとつの映画を造った、その結果が「秋桜~コスモス~」なのであります。
この映画は、母親たちの手で造られた「こころの山脈」への答えとも言えるでしょう。
親子の絆が希薄とも言われている現代ですが、このように形として、そして心に訴える作品として、永遠に残り続けるものを造った人々の行動力をうらやましく思い、そして尊敬しています。
ここで簡単に物語の紹介を。
母と共に、祖母のいる本宮町に帰ってきた園田明子には、町を揺るがすある大きな事実がありました。
以前住んでいた南米で、父を失う交通事故にあっていたのですが、その際助かった明子は輸血によりエイズに感染、発病していたのです。
その事実を知っていた親友であり幼なじみの夏実は、再会した時に複雑な心境でした。
小さな町では、情報はすぐに伝わります。
偏見や差別はもちろん。しかし明子と母はめげません。
やがて、常に明るく振る舞う明子の心の影を知った夏実は、その偏見に立ち向かうようになりますが・・・
メガホンを取るのは「マリリンに逢いたい」で一躍有名になったすずきじゅんいち監督。最近は活動の拠点をアメリカに移し、日本とアメリカの架け橋の役割を果たされています。
出演者は、小田茜さん、松下恵さん、先生役の宍戸開さんを始め、夏木マリさん、宍戸錠さん、川地民夫さん、藤田敏八さん、等、日本の映画界を支えてきた名優がそろっています。
そして忘れてはならないのが、「こころの山脈」で主演を務めた山岡久乃さん。主人公、明子の祖母として、この映画の意味をより深く描く為に一躍かっています。
小さな町から始まったひとつの映画の波は、監督や俳優陣だけでなく、放送局まで動かしました。
日本テレビが製作に加わったのです。
小規模ながら、全国での劇場公開にもこぎ着けました。
そして、エイズと共に生きる人々を描く重い内容の為か、口コミでその良さが広がり、劇場公開後も日本各地の公民館や学校等でも上映されたそうです。
「母親たちへの答」だった映画は、こうして全国の人々の胸を揺るがすまでに至ったのです。
今現在この作品を観るには、方法が限られてきます。
手っ取り早いのは、ビデオ販売元であるバップのHPからの購入ですが、在庫は希少のようです。
国内でDVDは販売されていませんが、すずき監督の活動拠点であるアメリカではDVDが発売されていて、海外の通販を利用すれば購入可能です。私もこのDVDを所有しています。
ただ残念な事に、国内販売のビデオを元に映像をおこしているようでDVD画質ではありません。
おまけに海外向けなので、英語字幕が表示されたままなのです。
出来る事なら、国内流通のビデオをお進めします。
もう一つの方法は、借りる事です。
レンタル店での在庫は期待出来ませんが、ひょっとすると図書館等で所蔵している場合があるかもしれません。
いずれにしても、全ての人が観やすい、と言う状況ではありません。
素晴らしい映画だけに残念です。
来週はネタバレ編として紹介致しますので、もし未見の方がいらっしゃいましたら、探すのは大変でしょうが是非作品を観てからご覧下さい。
それでは、また。
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