・・・今回はネタバレ注意・・・映画本編をご覧になってからお読みください。
まずは、一ヶ月も更新できなかった事をお許しください。
例年この時期、知り合いの参加する祭りのビデオ撮影と編集で忙しくなるのですが、今年は別の知り合いにもビデオ撮影と編集を頼まれ、その両方に手間取ってしまい、ここまで時間がかかってしまったのです。
長らくこちらを留守にしてしまい、申し訳ありませんでした。
そのビデオもほとんど完成しましたので、これからは毎週末こちらに専念出来ます。
遅れてしまったお詫びもかねて今週から年末まで、毎週更新を目指します。
どうぞよろしくお願い致します。
さて、密室系映画のオススメ、最後を飾るのはスティーブン・キング原作の「ショーシャンクの空に」です。
前回までのコラムで密室のあり方をいくつか紹介しましたが、今回はその究極とも言える形です。
物語の舞台が「刑務所」だからです。
そこは常に監視され、常に鬱積したものが渦巻いて、希望のない悪の巣窟でもあります。
罪を犯したものが償う為に閉じ込められる場所でありながら、すぐに出られるものもいれば一生出る事の出来ないものもいて、一見公平に見える服役囚にも世の中と同じようにバラツキや差別があります。
当然ながら、監視する側の人間にも悪に染まるものがいます。
「刑務所」と言うのは、多種多様の人生がそこに見え隠れし、人間ドラマを描くには好材料です。日本でも刑務所を題材にした映画やドラマが多数存在する事からも分かると思います。
しかし、この映画は他の刑務所映画とは明らかに違う点があります。
まずは主人公が「無実」である事です。
もっとも「無実」は途中から分かること。それまでは、犯人かもしれないと言う匂いを感じさせつつ物語が進んでいるのは、ご覧になった皆様にはお分かりでしょう。この事実がただの感動ドラマでは終わらない所以でもあります。
もうひとつは「希望を抱くな」と言う台詞を使いながらも物語が主人公の努力で数々の救いを生み出していると言うこと。
当初は仲間さえもいなかった主人公が、元銀行員の知識と知恵を生かし切っ掛けを作り、次第に打ち解け合い、刑務所ではあり得なかった出来事を次々と実現させて行きます。
映画と言う尺の中でいとも簡単に実現しているようですが、実際には何年もかかっている訳で、我慢と苦労の連続である事を忘れてはなりません。
たびたび暴行に遭っても、ひたすら我慢し、時を待つ。
図書館の本を増やすにも、毎週の努力の積み重ね。
所長の会計へ就く事も、それまでの刑務官への奉仕で得た信頼の賜物。
すべては、努力と苦労の上で成り立っているのです。
そう「希望」は、努力と苦労をしない人の上ではただの夢物語であり、主人公のように耐え忍び努力をする人間には、いつか成し遂げる事の出来る現実であるのです。
私は既に何度もこの映画を見てきましたが、あるシーンでいつも感じる事があります。
それは、所長が主人公に磨かせた靴を箱から取り出そうとする瞬間、サイレンの音が署内に鳴り響くシーンです。
この瞬間「すべては報われた!」そう思うのです。
なぜそう思うのかは、ここまで読まれた方はもうお分かりですよね?
主人公が与えた数々の「救い」が、己にかえってきた時の喜びです。
世の宗教もそうですが、何事にも見返りを求めてはいけません。それは欲と言う災いを連れてきます。
真犯人がいると言う事実を知った主人公は、一度その欲で失敗をしています。
今まで尽くしてきた所長なら自分を助けてくれるだろう、と言う欲です。
では主人公は全くの無欲だったのでしょうか?
私はそうは思いません。人間ですから、多少の見返りと計算はしていたでしょう。
でも生きる為、生き延びるために必死にあらゆる手を尽くしてきたのです。
最初にこの映画を見た時にはラスト30分の脱獄シーンが大逆転劇であり、その印象に映画の意味を見失っていました。
でも2度目からは、違いました。
どれだけ絶望の縁にいても、常に誰かのためになる事を続けなければならない。
もちろん見返りは期待するな。
でも信じる心があれば、いつか報われるはずだから。
そう感じるようになったのです。
人の死や裏切り、自殺等を描きながらも、この映画は純粋です。
映画を観た人すべてを、そんな気持ちにさせるほどの魅力の詰まった作品なのです。
最後にこれだけを付け加えさせて下さい。
私はいかなる宗教にも属していません。
でも霊や神様が居るかと言われたら、居るかもしれない、と答えるでしょう。
玉虫色だな・・・と言われるかもしれませんが、そうではありません。
大事なのは、そこに存在するのか?では無く、信じる気持ちだと思うのです。
私はこの映画でその大切さを学びました。
みなさんはどう感じましたか?
さて、まだまだ紹介したい作品はたくさんあるのですが、密室系映画の紹介はここで一度終わりにします。
次週は、「信じる気持ち」の大切さを訴えた作品、
「ペイ・フォワード」
をお贈りしたいと思います。
今回の「ショーシャンクの空に」で感動された方には、同様の感動を与えてくれる作品です。
未見の方はぜひ、ご覧ください。
それでは、また!
1994年アメリカ映画 142分
監督 フランク・ダラボン
脚本 フランク・ダラボン
音楽 トーマス・ニューマン
原作 スティーブン・キング
出演 ティム・ロビンス モーガン・フリーマン クランシー・ブラウン 他
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