2009年6月2日火曜日

スター・トレック(2009)

久しぶりに、興奮するSF映画に出会った。


これが「スター・トレック」を観終えた後の感想です。

本当に凄い映画でした。

どうやら新作が撮られているらしい、と言う噂を聞いた時からずっと楽しみに待ち続けていて、その期待はかなり大きくなっていたのですが、それをいとも簡単に凌駕する程の面白さでした。

そう言う意味でも、久しぶりに凄い映画に出たったな、と思わずにはいられませんでした。


今回はネタバレしないように「紹介編」としてお贈りしようかと思ったのですが、どうやら内容に触れずにはいられないようなので、前半は紹介、後半はネタバレとして書き進めたいと思います。


まずは簡単なあらすじです。


時は西暦2233年。連邦の宇宙船「USSケルビン」は未知の巨大宇宙船の攻撃を受ける。

艦長はその相手との交渉の為敵船へと乗り込むが、交渉するまでもなく抹殺。

艦長亡き後、引き継いだのはジョージ・カーク。

一方的に不利な状況から、彼は撤退を判断。乗組員は小型シャトルに次々と乗り込むが、カークは自動航行装置が故障したUSSケルビンに一人残り、敵への体当たりを敢行した。僅か13分だけの艦長であった・・・

そして、その最中にシャトル内で生まれたのがジョージの息子、ジェームズ・タイベリアス・カーク。後に数々の伝説を作った男だ。


時は経ち、カークは少年になっていた。

知り合いのビンテージカーを勝手に乗り回す等、自暴自棄な生活は父親のぬくもりを知らなかった為だろうか。


一方、地球と同盟関係であるバルカン星では、その血に悩む少年がいた。

彼の名はスポック。後にカークと共に数々の困難を乗り越えた、もうひとりの伝説。

彼は純粋なバルカン人ではなかった。母が地球人だったからだ。

その血の為に同級生たちからはからかわれ、怒りを露にしないバルカン人とは違い、感情に任せて殴り掛かるのであった。

しかし彼はバルカン人として生きることを選ぶ・・・


やがて二人は運命に導かれるように出会うこととなる。

惑星連邦宇宙艦隊の士官スポックと、士官候補生のカーク。論理的行動を重んずるスポックにとって、感情を露にし、掟破りの行動をするカークは厄介な存在だった。

テストで不正を行ったカークと、そのテストを造ったスポックの議論がアカデミー内で白熱する中、バルカン星からの救難信号を受け、候補生たちは士官たちと共にバルカン星へ向こうこととなった。

その中の一隻、新造艦「USSエンタープライズ」。謹慎の為、参加することが出来ないカークを救ったのは友人のマッコイ。彼の機転で、カークも乗り込むことが出来たのだ。

その救難信号を不審に思ったカークは、司令室へと一目散に走って行く。

「これは、罠だ!」


果たしてカークたちの運命は?そして父の命を奪った巨大宇宙船の正体とは?


実は私、オープニングの約15分でうかつにも涙がこぼれてしまいました。

「これから起こる数々の冒険は、こんな悲劇から始まったのか・・・」と思うと、ポロポロと涙がこぼれてきたんです。そしてふと感じました。

「スター・トレック」シリーズは、もうSFの枠を超えている、と。

私たちが目指すべき、夢のある未来の姿を描いた「希望のドラマ」なんだと。

それでいて、今回の「スター・トレック」は今までのシリーズにはなかった超弩級のアクションをふんだんに取り入れ、息をもつかせぬ展開を次々に用意しています。

126分の上映時間中、とにかく一切飽きさせないんです。体感は90分くらい、と言える程に濃縮されています。

オリジナルを知っていないと面白くないのでは?と言う疑問を持たれる方も多いと思いますが、その心配は全くないと言っても良いでしょう。何の知識がなくても、分かりやすく、しっかりと、丁寧に描かれているので、存分に楽しめるはずです。

それでいて、過去のシリーズを知っている人へのサービスも忘れず、そこここにオマージュや笑いが散りばめられているので、ファンにとっても何度観ても楽しい作品に仕上がっています。

ここで色々書くよりも、詳しくは観ていただくのが一番なのですが、とにかくこの迫力は映画館で味わうべきものだと、私は思います。


さて、ここから先はネタバレを含めた紹介編となりますので、まだご覧になっていない方は是非映画館でご覧になってからもう一度お越し下さいませ。


ご覧になったみなさま、この「スター・トレック」どこが気に入りました?

私にはいくつもあって簡単には言い表せないんです。友人には「とにかく観てくれ!」としか言えなかったりしています。

それほど魅力が詰まっていたと思いませんか?

オリジナルに似ている役者陣も文句なし。タイムトラベルを取り入れた物語の展開も文句なし。宇宙船から制服やフェイザーに至るまでアイテムのディテールも文句なし。上映時間も、過去作品への敬意も文句なし。

全く良いことばかりで、粗を探すのが難しいくらいでしたよね。

唯一気になっていたオリジナルとの接点も、未来から来たスポックを使うことによって見事に繋ぎ、ネロの攻撃による歴史の改変で生まれた「もうひとつの歴史の流れ」と言う概念をうまく活用し、今後の新しい展開も無理なく描けるようになっています。

どうやら続編の製作も決まったようですね。是非とも同じキャストとスタッフで造って欲しいと願います。

それに、出来ればTVシリーズも観てみたいですね。でもあれだけ沢山のVFXを観ると、TVの予算では納まらないのは間違いないようなので、ないのかな・・・


さてさて私が感じた魅力全てを書くのはあまりにも時間がかかるので、ここではいくつかを取り上げたいと思います。

今までのシリーズでは、派手なアクションはありませんでした。そこが魅力だった、と言う方もいらっしゃるようですが、今回の作品はそれを打ち破ることから始まったのでは?と思える程に、アクションへの気合いが感じられ、空回りすることなく緊張感の連続で観客を魅了してくれます。

それだけでなく、今までのシリーズにはなかった要素もいくつか描かれていたことに気づきました。

まずは宇宙のスケールの大きさを、ワンシーン観ただけで体感させること。

例えば、カークが初めて宇宙ステーション(艦隊基地)に乗り込むシーンでは、カークたちの視点でUSSエンタープライズが映し出されますが、良く見てみるとわざと見切れていることに気づきます。艦首と艦尾が映っていないんです。カメラが流れることで大きさを表現しがちな過去作品ではあまり観ない表現方法だけど、でも観客が何気なく大きさを理解してしまう自然な描き方です。

他にも、USSエンタープライズの艦内にもこだわりがありました。

この手のSF映画と言えば、何もかも近未来的に描こうとしてどこか違和感を感じさせることがあるのですが、それにも挑戦しています。

ブリッジや医務室などの居住空間と、エンジンルームやシャトルなどの格納庫のギャップがそうです。

ブリッジなどは近未来的な空間として描きつつ、エンジンルームや機関室(パンフレットによると一部はバドワイザーの工場で撮影されたそうです なるほど笑)は鉄骨やパイプラインが剥き出しで今現在私たちの身近にある工場や船などのそれに似ています。USSケルビンのシャトルでもコクピットとの境にビニールカーテンが使われているなど、私たちが生きる21世紀からの歴史の流れをそこに見いだすことが出来るので、違和感を取り払うことに成功しているように思えるのです。

他にも「上下のない宇宙」を、宇宙船や破壊された破片などの対象物を縦横無尽に見せることで体感させてくれています。

表現へのこだわりは、見せ方だけにとどまりません。

オープニングのでUSSケルビンの戦闘シーンにそれが見受けられます。

掘削船ナラーダからの攻撃で被弾し、USSケルビンの乗組員が宇宙空間へ放り出されるシーンを覚えていますか?

あのシーンは、船内での派手な爆音が波が引くように消え、無音になっていきます。

本来なら爆音もしないはずの宇宙空間を、観客の迫力や体感を考え音をつけてしまうそれまでのこれまでの描かれ方とは、ちょっと違っていますよね。

徐々に音が消えることによって、「あ、宇宙って死の空間なんだ。」と気づかせてくれます。


そうそう、これを忘れちゃいけないですよね。

笑いについてです。

これまでのシリーズにもスポックやデータなどを使った笑いの要素が含まれていたんですが、今回はさらにスケールアップしていました。

過去作品を知らない人がどこまで笑えるかは分からないのですが、エンタープライズのメインクルーそれぞれにちょっとずつ笑いを含ませてあり、アクションに次ぐアクションで息がつけない状況に「箸休め」を行っています。

私はその中でも、マッコイのシーンとチェコフのシーンがお気に入りです。

マッコイが宇宙へ行くのを嫌がるシーンを観て、真っ先に映画第1作で転送を嫌がっているシーンを思い出しました。「変わってないなぁ」と思うと自然と笑みがこぼれてしまいましたね。

チェコフについてはいくつかあるのですが、ロシアなまりがキツくて音声認識がされないところはツボでした。

多分、2度3度観てもこのシーンは笑ってしまいそうです。


さて他にも語りたいことが沢山あるのですが、それはDVD発売時に再度「ネタバレ編」としてお贈りしようかと思いますので、それまでの間しばしお待ちくださいませ。


次回は予告通り「ブラッド・イン ブラッド・アウト」をお贈りしたいと思います。

それでは、また!



映画データ


2009年アメリカ作品 126分


製作総指揮 ブライアン・パーク ジェフリー・チャーノフ ロベルト・オーチー アレックス・カーツマン

製作    J.J.エイブラムス デイモン・リンデロフ

監督    J.J.エイブラムス

脚本    ロベルト・オーチー アレックス・カーツマン

撮影    ダン・ミンデル

編集    マリアン・ブランドン メアリー・ジョー・マーキー

衣装    マイケル・カプラン

音楽    マイケル・ジアッキノ

出演    クリス・パイン ザッカリー・クイント レナード・ニモイ エリック・バナ ブルース・グリーンウッド カール・アーバン ゾーイ・サルダナ サイモン・ベック ジョン・チョウ アントン・イェルデン ベン・クロス ウィノナ・ライダー 他

2 件のコメント:

  1. 明けまして おめでとうございます♪

    またまたお邪魔しています ( *艸)
    TNG 最高ですね!

    テレビでTNGを全部見るのは難しいので、
    私はシリーズ全作を見る為にだけスカパー契約を・・・
    「まるごとスタートレック」とかの特集で、
    3日間とか放映あったりするので・・・・・・
    VTRも凄い量になってしまってます

    そこで、TNGとVoyagerを少しずつですが
    プレミアムBOXのDVDに入れ替えているのですが凄い金額に・・・
    ちまちま揃えるしかないですね~


    スタートレック 私も見ました! もちろん♪

    感動してウルウルするところ満載だし
    お笑い要素も多く 何度も繰り返し見てしまいましたw

    キャスティングも良かったですねー
    カークとスポックの若い頃はこんなだろうな~って
    1人で納得してしまいました♪

    スター・トレック公式サイトからの最新ニュースを心待ちにしている今日この頃・・・

    昨年はヤマトで締めくくりましたが
    今年の映画は母のお付き合いで、珍しく邦画が開幕の予定ですw
    「相棒」
    どんな仕上がりなのか楽しみに映画館に行ってきます♪


    では またお邪魔します♪

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  2. 若さん、あけましておめでとうございます!
    再びお越しいただきありがとうございます。
    しかも熱いコメント!!嬉しい限りです。

    今回頂いたコメントを読んで、改めて自分の書いた文章を読み返してみたのですが・・・ここにもヤマトとの共通点、と言うか、山崎監督からスター・トレックへのオマージュ兼、挑戦状を思い出しました。
    ヤマトでも乗組員が船内から宇宙へ吹き飛ばされるシーンがありましたね。しかも音が消えていくのも同じ。
    好きな映画へのオマージュだけでは終わらず「日本だってここまで出来るんだぜぃ!」と監督がドヤ顔で言っているかのような錯覚を覚えました(笑)

    X-FILESや24、ERなど有名なTVシリーズは何回目かの再発売ボックスセットで1シーズン3~4000円くらいになるのに、TNGってないですよね?確か一番安くて8000円くらいだったような?
    FOXやワーナーと同じくらいまで下がれば全部(まとめては無理なので少しずつ 笑)買うんだけどなぁ・・・2009リメイク版の続編をきっかけに発売されることを期待していたりします。

    そうですかぁボイジャーにも手を出してるんですね。もう完全なるトレッキー。これでパジャマが制服で、携帯の着信音が「キュキュキュッ」だったら完璧ですね(笑)

    そうそうツタヤで買える(多分レンタルもあるはず?)んですが、「ギャラクシークエスト」ってご存知ですか?
    これお勧めですよ!と書きながら、きっと見ているでしょうね?

    相棒ですか。映画に詳しい知人によると、今回はかなり重厚で見ごたえがあると聞きます。でも私は第8シーズン辺りから物足りなさを感じるようになったので、映画館には行かないかな?
    その分、もう一回ヤマトかな(笑)

    そうそう山崎貴監督の「ALWAYS続・三丁目の夕日」のロケに出くわした時の思い出を語った「夕日町三丁目を探して」、是非読んでください。詳しいことは言えませんが、きっとあとで「そうだったのか!」ってことになりますので(笑)

    それでは、またのお越しをお待ちしております。

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