とうとう2006年も終わりですね。皆さんにとって2006年はどんな年でしたか?
さて前回のコラムで「今年映画館で観た映画の紹介と採点」と案内しましたが、「採点」は私のコラムらしくないかな?と考え、タイトルから省くこととなりました。
既にDVDが発売されている作品も多いので、その辺りは、読んでいる皆さんにお任せするとします。
今年私が映画館で観た作品は、以下の通りです。
単騎、千里を走る。
ピーナッツ
日本沈没
M:I:3
ユナイテッド93
UDON
フラガール
夜のピクニック
私の住む街には映画館がないので、あまり頻繁に見ているとは言えないのですが、今年は私の中では多い方かもしれません。
自動車で20分程の街にシネコンが出来たおかげで、随分と観に行きやすくなりました。
と同時に、日本全国に言えることなのですが、シネコンの弊害もあるような気がします。
それは稼げる作品以外は上映期間が短い、と言うことです。そしてすぐに打ち切られてしまうものも少なくない、と言うとこも付け加えておきましょう。
そのせいで見逃してしまった作品もあります。
一方で、都心の単館系で人気を博した作品は、シネコン登場以前なら直接観に行くしか手がなかったのですが、多少遅れて上映期間が短くとも地方で観られるようになったとも言えます。
シネコンが出来て喜んでいたのですが、今年は良い面と悪い面を持ち合わせていることに気づかされました。
そして今後ですが、気になることもあります。
それは市場の飽和です。私は仕事の関係上、平日の初回上映を観ることが多いのですが、公開直後でも数人しかいないことが多々あります。
これでやって行けるのでしょうか?それだけではありません。「夜のピクニック」の初日舞台挨拶を近所のシネコンで観たのですが、客の入りは良くありませんでした。
地方で舞台挨拶がある等と思っていない人が多数を占めていると言う現状もあるのでしょうが、舞台挨拶の楽しみを知らない人が多いのかもしれませんね。
初日であるにもかかわらず客の入りが良くないと言うことは、イコール「儲からない」と言うことになるかと思います。
実際に、この映画の上映期間は短かったのです。
映画が面白かった、そして地元茨城県各所での撮影であるにも関わらず、残念な結果でした。
昔の映画館は客足の減少が廃館へと招いたのに、また同じ結果が待っている気がするのです。
もし、近所のシネコンが閉鎖されたら・・・それでも私は遠くまで見に行くかもしれませんが。
何を言いたいのかと言いますと、映画館での臨場感を是非味わって欲しいのです。
あなたのその行動が、これからの映画界を支えるのです。
DVDを買っても、肝心の映画館で客足が伸びなければ意味がありません。
もし観たい映画が会ったら、半日時間を作って是非映画館へ足を運んで下さい。
よろしくお願い致します。
余談ですが、観に行けなかった作品もここに記したいと思います。
上映終了作品
ニューシネマパラダイス デジタルリマスター版
子ぎつねヘレン
太陽
ワールドトレードセンター
父親たちの星条旗
椿山課長の七日間
現在上映中作品
硫黄島からの手紙
めぐみ-引き裂かれた家族の30年
赤い鯨と白い蛇
話がだいぶそれてしまったので、本題に戻ることとします。
では、観た順番にそって簡単な紹介をしましょう。
「単騎、千里を走る。」 地元シネコンで鑑賞
高倉健さん主演の中国映画です。正確に言えば、日本のエピソードを日本人の有名監督がとられているので、合作に近い存在と言えるかもしれません。
死期の近い息子の為に、息子のやり残した仕事を確かめようと単身訪中した不器用な男の物語。
まさに、高倉健さんの為に造られた映画です。
そして役者「高倉健」に対する並々ならぬ愛情を感じる秀作です。
日本と中国。近くて遠い存在と言われていますが、それは双方の努力次第である、と考えさせられました。
「ピーナッツ」 渋谷で鑑賞
ウッチャンナンチャンのウッチャンこと、内村光良さんの初監督作品です。
映画学校で演技を学び、映画に憧れる仲間たちとふれあった経験が、見事に生かされています。
題材は地味ですが、映画に対する愛情がそこここに感じられます。
時々挟まれるギャグはご愛嬌。
この映画には、もうひとつ紹介したい点があります。
それは音楽です。担当されたのはロケットマン。誰?とお思いですよね。でも皆さん良くご存知の方です。あえてここでは明かしませんので、調べてみて下さい。ビックリしますよ。
今は違う道に進みながらも、幼い頃から学んでいたピアノがこの映画を盛り上げる「武器」となっているのです。
「日本沈没」 地元シネコンで鑑賞
日本映画史に残る名作のリメイクです。リメイクは前作を越えられない、と良く言われますが、私の率直な感想では、残念ながらその通りでした。
もとの映画にある、あの「重さ」が感じられなかったのが残念です。
ただ物語の中心が恋愛に置き換えられている点が女性を中心にうけているようで、性別によって感想が変わる映画とも言えます。もとの映画を知らない世代には、好評だったようですね。
この映画の特筆すべき点は、その特殊効果。ハリウッドに負けない素晴らしいレベルで造られています。
崩壊した大都市や、宇宙から見た沈みつつある日本の姿は圧巻です。
その迫力を感じる為にも、是非大きなテレビとサラウンドの整った環境でご覧になることをお勧めします。
「M:I:3」 地元シネコンで鑑賞
皆さんご存知の「ミッション・インポッシブル」シリーズの最新作。
このシリーズの素晴らしいところは、同じパターンの映画にならないところです。
1作目は、古いスパイ映画を意識したサスペンス重視の作品。
2作目は、ガラッと変わってアクションを中心に迫力で見せる作品。
そしてこの3作目は、スパイ映画に恋愛の要素を取り入れています。
と同時に、アメリカでTVシリーズものを中心に活躍されている監督の手法が、観る者に新鮮さを与えます。途中途中に登場する小物類も、スパイらしいスパイスを利かせて、効果的でした。
恋愛映画が嫌い!と言う人にも、これなら勧められるでしょう。
ただし、「スパイがこんなに派手にやっていいのか?」なんて思わないで下さい。
この映画は娯楽映画であって、リアリティーを追求している訳ではありませんから(笑)
「ユナイテッド93」 地元シネコンで鑑賞
つらかった。
その一言につきる映画です。
あの911テロで唯一、目標に特攻することを避けられた機体で起こったであろうドラマを描いています。
素晴らしい映画です。素晴らしいだけに、辛いのです。
決して助かる見込みがないと知っている私たちは、その悲劇的な最後に引き込まれて行きます。
最悪のエンディングなので後味は悪いのですが、その亡くなられた方達の勇気が、私たちに訴えてくる「強い何か」があります。
覚悟の上で、是非ご覧になっていただきたい作品です。
「UDON」 有楽町で鑑賞・初日舞台挨拶あり
本広克行監督10年目にして10作目の記念すべき映画は、地元香川県を描いた作品です。
人によって感想が様々ですが、私は後半号泣でした。
その泣きの仕掛けは、同じ本広監督の「サトラレ」に似ていると言えます。
言葉では言い表せない父と息子の確執と、その陰に隠れている幼い頃の思い出。
誰もが経験する「ほろ苦さ」を本広監督らしく、笑いを交えて描いています。
ちょっとばかり、気になる点もあるのですが・・・それは後半の涙で帳消しです。
皆さんがどう感じるか、最も知りたい作品のひとつですね。
そうそう、舞台挨拶は最高でした。笑いの絶えない20分でしたよ。
「フラガール」 地元シネコンで鑑賞
今年沢山の邦画が公開されましたが、私の中ではこの作品が文句なしの1位です。
実話、昭和、笑いを伴う涙。
ヒットの要素も整っています。
登場人物すべての役者、すべての演技が素晴らしい。
何よりも、最近のヒット映画の要素をしっかりと研究していることが伺える監督の手腕が素晴らしい!
この作品なら、アカデミー賞の外国語映画賞も狙えると思っています。
ここで、これからこの作品を見る方に、ひとつだけ忠告を。
南海キャンディーズのしずちゃんこと、山崎静代さんには気をつけて下さい。うっかりしているとやられますよ。
「夜のピクニック」 地元シネコンで鑑賞・初日舞台挨拶あり
実話が元になった小説が原作です。水戸を中心に茨城県の東部各所でロケが行われました。
その縁で、地元シネコン初の舞台挨拶。もちろん見逃す訳にはいきません。
短い時間でしたが、手作り感のある素晴らしい舞台挨拶でした。
そしてこんな地方に、わざわざ来ていただいたことが嬉しくてなりません。
一晩で80キロを歩く「歩行祭」を描いているのですが、沢山いる登場人物全てに個性があり、自分も一緒に歩いている気分にさせてくれる「あの頃に帰れる」映画でした。
ちょっと個性的な作品ですが、これについて来れたらあなたも若い証拠だと思います。
この映画を撮られた長澤監督のデビュー作「ココニイルコト」と言う映画もオススメです。
駆け足で今年見た映画の紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
この中のいくつかの作品は、いずれコラムでご紹介することになると思いますので、気になる作品がありましたら、DVD発売の際には是非ご覧くださいませ。
最後に「ALWAYS三丁目の夕日」より、言葉を引用します。
「良いお年を!」
次回は・・・まだ決めていません。
近日中にアップ致しますので、それまでお待ちくださいませ。
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