2010年12月1日水曜日

SPACE BATTLESHIP ヤマト(紹介編)

皆様、大変ご無沙汰してしまいました。私は色々とあって、見ることは多くてもネットに書き込むことはほとんどなくこの1年を過ごしていました。
皆様にとってこの2010年はいかがでしたでしょうか?
私には「どん底」の1年だったかもしれません。いまだ見えない出口を探し、日々苦悩しています。行動する勇気さえ失いつつある最近でしたが、この作品に出会って、変われる気がしてきました。もう少し頑張ってみよう、そう思わせてくれる作品です。

今回お贈りする作品名は「SPACE BATTLESHIP ヤマト」

その名が示す通り、日本のアニメ界で輝かし栄光を持つあの作品「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクであり、そして初の実写版です。
これだけ偉大な原作を実写化する道のりには相当な苦労があったでしょう。
実際、苦労の末に製作が決まってからも、監督予定者の変更や決まっていたキャストの一部変更など、ここ数年話題にも事欠きませんでした。
実写版は、まさに原作が辿った道のように困難な道のりを克服して生まれた作品と言えます。
36年前TV放送された、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の原作である「宇宙戦艦ヤマト」は放映当時画期的と言える作品でした。それは子供をターゲットにしていなかったからです。舞台が宇宙空間という設定、宇宙戦艦などの細かなディテール、似て非なる異星人とその星の世界観、そして当時失われつつあった戦争の記憶と記録、その全てを兼ね備えた、まさに大人に向けて造られたと言える内容が、アニメに新しい風を吹き込んだのです。
しかし1974年当時、まだ「大人の鑑賞に耐えうるアニメ」と言うジャンルは確立されておらず、人気絶頂の裏番組に苦しめられ、あの「機動戦士ガンダム」同様に当初の予定を縮めての放映終了を迎えることとなりました。先を行く者の試練とでもいえるでしょうか。
そんな「宇宙戦艦ヤマト」が脚光を浴びたのは、再放送からでした。
その後TV版を再編集し映画化、大ヒットとなるのですが、当時小学生の私でさえ再放送にくぎ付けで、母親に頼んで映画館に連れて行ってもらった程、と言えば、どれだけ大きなブームとなったのか分っていただけるでしょうか?
実写版で主役を演じた木村拓哉さんも、そんな私たちと同様に映画館へ行ったことをインタビュー等で話されています。彼は「宇宙戦艦ヤマト」が初めて映画館で観た映画だそうで、オファーを受けた時の気分はまさに「夢」のようだったでしょうね。

さて原作の「宇宙戦艦ヤマト」ですが、映画の大ヒットによりTV版の続編、TVスペシャル版、そしてオリジナル映画と、約10年にわたってアニメ界をけん引してゆきました。
やがて少し遅れて一大ブームとなった「機動戦士ガンダム」にバトンを渡すかのように、最前線から姿を消すこととなります。

その後の「宇宙戦艦ヤマト」が辿った道は、イスカンダルへ向かうTVシリーズのヤマトのように、苦難の連続でした。
折からのレンタルビデオブームに乗ってオリジナルビデオでの復活を試みるも、アニメを制作していた会社の倒産により未完のまま終了。他にも生みの親であるプロデューサーが起こした不祥事や、「宇宙戦艦ヤマト」の商標や著作に関する裁判の連続など、浮上しようとしてもがいている状態が長く続きました。

しかしヤマトは、戦艦大和が地球の危機に瀕し宇宙戦艦ヤマトとなって復活したように、再び最前線へと戻ってきたのです。

それは今からちょうど1年前、完結編として一度終了した作品のその後を描く劇場版「宇宙戦艦ヤマト 復活編」として帰ってきました。
オリジナルで古代進の声優だった富山敬さんが亡くなってすでに4年。古代進は山寺幸一さんへと引き継がれ、登場人物の多くも世代交代し、その息子たちに引き継がれました。この設定だけを見ても、どれだけ時が過ぎたのか分かるでしょう。
残念ながら映画は興行的に成功したとは言えませんでしたが、私たちと同世代には大きな話題となって歓迎されたのです。

その「宇宙戦艦ヤマト 復活編」が製作されているころ、極秘裏に実写版プロジェクトが進行していました。業界人ではない私にも時々噂レベルでその存在が漏れ聞こえることはありましたが、噂では大きなニュースになることもなく、原作のファンを含め多くの人々には知られていませんでした。
しかし2009年、ついにその製作が発表され、私たちの目にとまることとなるのです。

近年、日本のCGやVFXのレベルは格段に進歩しています。存在するはずのない世界を違和感なく描き、観客の心をそこへ導くほどに成長しています。しかし海外の作品のように潤沢な予算があるとは言えない状況なのも確かです。
その構図は、日本が敗戦から復活し世界に通じる国になった経緯に似ていると言えるかもしれません。工夫と努力が結果を生む、そんな表現が似合うでしょうか。

壮大な宇宙や艦隊戦を映像化するため莫大な制作費がかかると予想された「宇宙戦艦ヤマト」の実写は、近年の日本映画界の盛況が後押ししたと言っても過言ではなありません。そしてテレビ局が製作をし、他の業種を巻き込む形式が完成された今日だから、可能になったとも言えるでしょう。
この作品も近年の大作映画と同様にテレビ局がその中心の役割を担っています。
テレビ局が製作に関わるのが嫌だ、とか、そのシステムが映画をダメにしているという映画ファンが多数いるのも事実ですが、アメリカのように潤沢な予算が見込めない日本では必須のシステムです。この方法がなくして、日本の映画界は活性化しない、と断言できます。
それにテレビ局が参加するメリットは他にもあります。
どれだけ素晴らしい出来の映画でも、宣伝が伴わなければ劇場でのヒットはあり得ません。シネコンのスクリーンを上回るペースで作られる数多くの映画の中では、そのような体制だと日本各地のスクリーンにかかることは事実上不可能で、最終的には資金の回収ができず、映画製作者の意欲をそぐ結果に終わってしまいます。

そう、テレビ局が関わることで、効果的に宣伝に力を入れることが出来るのです。

以前、大ヒットした映画「フラガール」はテレビ局が関わらず資金を得、製作するという新たな方法で成功しました。しかし残念なことにその後のヒットに恵まれず、あれだけの成功を生みだした製作会社の解散へと至ってしまったのでした。

少し話が逸れてしまいましたが、この「SPACE BATTLESHIP ヤマト」のようにそれまでの映画とはケタの違うスケールの作品では、今のこのご時世、テレビ局の後押しがなければ日本では造ることが不可能なのです。

そんな方式にもデメリットはあります。

それは製作に加わったテレビ局以外では、極端に露出が少なくなるということです。今、民法各局ではそれぞれが独自に映画製作に乗り出しています。つまり他局はライバルとして存在するのです。
しかし今回は、作品に対する期待の大きさの表れでしょうか、通常は関わったテレビ局以外ではあまり扱われないことがなかった宣伝活動が、他局を巻き込む勢いで進行しています。
実際、製作のTBSではない局でオープニングをノーカット放映したり、映画のキャストが集結した番組が他局にもありました。もっともこの宣伝に関してはあるキャストの所属事務所の力が大きかったと言った方がいいかもしれませんね。

テレビでの膨大な宣伝活動より少し前に行われた完成披露試写会は、10万人もの応募があったと聞きます。作品に対する期待の大きさがうかがえるエピソードです。
しかし残念なことに、試写が行われるまでは実写に対してのネガティブな記事が多く、映画もヒットしないという意見が多かったのです。
おそらく過去に行われた実写化作品の失敗や、「なんで今さら」と言う考えが多かったのでしょう。すべてがそうとは言えませんが、実際、元ネタとなる作品が古ければ古いほど、海外でも日本でもリメイク作品は当たらない傾向にあると私は感じています。
リメイクに対する不安要素は容易に想像がつきます。原作である「宇宙戦艦ヤマト」からすでに36年も経っています。当時熱狂したファンたちはすでに40~50歳代。しかもここ10年の停滞が災いし、それ以降の年代にはほとんど知られていません。
でも試写会で実写版を観た人々の声は、そんな不安を打ち消すものでした。
「宇宙戦艦ヤマト」を知らなくても楽しめ、知っている人にも喜んでもらえる、そんな作品が完成したのです。

その作品を作り上げた監督の名は山崎貴。

名前を聞いても知らない方が多いと思いますが、「ジュブナイル」で劇場映画初監督、その後「リターナー」を経て、「ALWAYS 三丁目の夕日」とその続編を監督した、と言えばお分かりいただけるでしょう。
VFXを武器に、泣ける脚本で観客を虜にする監督です。当初の2作品はオリジナルの物語でしたが、「ALWAYS 三丁目の夕日」以降は漫画やアニメの実写化が続いています。今回の監督起用は、そんな実績が呼び込んだ結果なのでしょう。前作の「BALLAD 名もなき恋のうた」は、タイトルだけではピンときませんが、これもアニメが原作となります。日本では知らない人がいないほど有名なアニメです。その原作が何か・・・知らない方はぜひ調べてみてください。
ちょっと驚くかもしれませんよ。

監督曰く、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は「駄目かもしれないけど頑張ると言う気持ちを感じてほしい」つまり、あきらめない勇気を描いた作品とのこと。バブル崩壊から抜け出せない今の日本に必要な、大切な気持ちをあなたにも感じさせてくれるかもしれません。私はこの作品から勇気をもらいました。

さて他にもこの実写版には多くの有名な俳優が関わっていますが、それに関してはネタバレ編の方で紹介したいと思います。
ネタバレ編では激しくネタバレをし、思うことを語ってゆきたいと考えていますので、ご覧になった方は期待してお待ちくださいね。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は本日12月1日、ついに公開されました。「映画の日」に公開となりかなりの混雑が予想されますが、その混雑はまだまだ続きそうな予感がします。
これだけの製作陣とキャストに恵まれたこの映画。もしかしたら大きな記録を打ち立てるかもしれません。

もし映画はDVDだけでいいやと思う方がいたら、ぜひ本作は映画館で観ることをお勧めします。なぜなら「体感する」と言うことが、この映画の本当の良さを実感する一つの方法と感じたからです。

以前私が体感する映画と感じたのは、あの「タイタニック」です。

恋愛映画と思われがちですが、あの映画の本当の良さは同じスクリーンを見つめ同じ音響に包まれ、沈没を体感し、映画の観客がタイタニック号乗客の一部となり、それぞれの感情が涙や嗚咽となり、他の観客の耳に入る。そんな一体感で「体感する」ことにあるのです。
残念ながら今、「タイタニック」は映画館で観ることはできません。そう、それが味わえるのは劇場公開中だけだからなのです。
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」がどれだけの期間映画館で上映されるかはわかりませんが、体感するからこそ味わえる興奮や感動は、これを逃すと味わえません。だからぜひ、騙されたと思って劇場に足を運んでみてください。
きっとあなたも乗組員と一緒に宇宙へ飛び出した気持ちになることと思います。
私が観た回では、「タイタニック」の時と同じく、終盤のとあるシーンで起こる静寂の中、「ある」音が聞こえ、他の観客と一体感を感じることができました。

劇場へ足を運び、もしこの映画を気に入っていただけたら、こちらにコメントを頂けると幸いです。
そしてあなたが、私と同じように多くの感動を味わえることを願っています。

続けてネタバレ編をお贈りしたいと思うのですが、どうやら久々の文章作成には時間がかかりそうです。この文章も下書きを含めて数時間かかっています。なので、今しばらくお待ちください。
あれもこれも書きたいと、沢山の思考を巡らせている最中ですので・・・

それでは、また!

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