最近の映画は、「このジャンル」と決めかねる作品が増えています。
多様化する観客の満足度を満たすために、幾つもの要素を取り込んでいるのです。
もちろん映画が進化している証拠でもあるのですが。
さて、この「ピッチブラック」はジャケットや解説から察するところ、SFものに分類されるように感じますが、実際に観てみると解説とは違う印象を受けるかと思います。
そうなんです。
サスペンスの要素が隠されているのです。
囚人と警官(観た方は気づかれるでしょうが・・・)のそれぞれが抱える過去と、現在で起こる駆け引き、そして短い台詞の節々に隠された本人たちの意志と意図。
観ているものに「何があるのだろう?」とか「真実はどちらなんだろう?」と考えさせることによって、緊張感をより高ぶらせているのです。
そして真っ暗になってしまった惑星に閉じこめられる、密室性。
少ない登場人物もそうです。
典型的な「密室サスペンス」と言えるでしょう。
登場人物たちが不時着したこの惑星では、地球では考えられない「異常」が支配しています。
最初の30分は、環境の異常。
その後の30分は、生態系の異常。
最初の1時間に、たっぷりと恐怖を煽り、残りの40分は生き残りを掛けた「異常な戦い」で観る者の心を釘付けにするのです。
その3つの「異常」に花を添えるのが、囚人の特異性。
暗視出来るように改造された目と、幾つもの修羅場を抜けてきた強靱な肉体。
忘れてはならないのが、演じているヴィン・ディーゼルの魅力ではないでしょうか?
最近は活躍が続き、すっかり超大物俳優の仲間入りをしましたが、私にとってはこの作品で演じる「リディック」が最高に素晴らしいと、今でも思います。
未知の生物との、絶望的な戦いに、果たして登場人物たちは勝つことが出来るのでしょうか?
結末は、観る人のみ知るところです。
シチュエーションがあの「エイリアン」に似ているのはご愛敬と言うところで・・・
この映画の監督は、脚本が素晴らしいようです。
ネットで名前を検索してみて下さい。
名前は知られていないのに、いくつかの超大作を手掛けていますよ。
次の監督作品が楽しみな一人です。
さて、引き続いて、あの感動作「E.T.」をお贈りします。
それではまた!
2000年アメリカ映画 108分
監督・脚本 デヴィット・トゥーヒー
出演 ヴィン・ディーゼル ラダ・ミッチェル コール・ハウザー
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