2004年12月13日月曜日

E.T.

物語の説明なんて不要なほどに有名な作品ですから、今回はいきなり本題に入ろうかと思います。

「ちょっと待って!」と思った方。ここで読むのを止めて、今すぐビデオを借りにいって下さい。


さて私がはじめてこの作品を知ったのは、スターウォーズと同じジョン・ウィリアムスが音楽を担当していることからです。

サントラから入って小説を読んだという珍しいパターンで、しかも劇場公開当時には観ておらず、初めて本編を観たのは粗悪な海賊版という、異常な状況(当時は海賊版が平気で流通していたのです)。

しかし映画の本質は、画質ではなくその「心」にあると言うことを思い知らされた映画でもあるのです。怪しい字幕に邪魔されながら、時々乱れる画面でもラストは大泣きでした。今でもハッキリと覚えています。

それから数年で正規版がビデオ化され改めて鑑賞すると、更に大泣き。

もちろん購入しました。

1990年代後半にはTHX版という、コンピューターを使って映像・音声を綺麗に仕上げ直したビデオがリリースされ、もちろんこれも購入しました。

そして2002年、20周年を記念して製作されたのが、特別版なのです。

スターウォーズ特別版もそうですが、昔の技術では満足に仕上げられなかったシーン等に手を加え、オリジナルを損ねることなくより完成度を高めるのが「特別版」であります。

もちろん「E.T.」に関してもオリジナルを損ねることは一切ありません。もし過去に劇場やビデオでしかご覧になったことがないのでありましたら、この特別版は絶対に損をさせないので、レンタルでも構いませんからご覧になって下さい。

何が変わったか?と言われると数限りなく手を加えてあるのですが、基本的にはごく自然にしか変化していないので、気づかれない方もいるかも知れません。

具体的に幾つかあげると・・・

まず表情の変化。中に人が入っていたとは言え、オリジナルの表情はワイヤーなどで動かしていたもの。当時としては立派なほどに表情豊かですが、やはり作り物っぽかったのは否めません。そこで特別版ではCGを使用し、素早い動きや悲しみ喜びの表現など豊かな表情を生み出しています。しかし全てを変えるわけではなく、オリジナルのままのシーンも多々あります。その境目が不自然でないところは、さすがと感じさせます。

次に未公開シーンの追加。あえてここには書きませんが、E.T.と主人公の友情を育むシーンである、とだけ言っておきます。ちなみに小説にこのシーンはあったので私には待ち望んでいた場面でした。

他には細かな合成の差し替えなど。

鏡面仕上げになってよりリアルに見える宇宙船や、E.T.の走る姿、など注意して観るとかなりたくさん手を加えてあることが分かるかと思います。


以前、掲示板で書き込んだことと重複するのですが、私がこの映画で特に気に入っていることを改めてここに書き記したいと思います。

それはこの映画と出会って20年以上経った今でも色褪せることなく、当時と同じように涙を流せる映画だからこそ、熱く語れることなのです。どうかお許しを。


この映画の最も素晴らしいところは、音楽と映像のシンクロです。

そのシーンに隠された、登場人物の心情を台詞を使わず音楽で表しています。

時に悲しく、時に驚き、時に涙を誘う。

その最も際だっているのは、ラストの15分間です。

E.T.には3種類のサントラがあるのですが、発売当初から変わらないのがラストに使われる組曲です(正確に言うと若干変わってはいるのですが)。

この15分の組曲と場面の動きがシンクロして、観ている者へ「音楽に包み込まれた感情の起伏」を促すのです。音楽好きな人間なら、きっとその手法に「やられる」ことでしょう。

そしてラストシーンでの片言の会話が、その手法に花を添えて、多くの人の涙を誘うのです。


さて語ると尽きないほどに好きな映画であるのですが、ここから先はちょっとした余談になります。あまり書きすぎてネタバレにならないように、と言うこともあるのですが・・・


E.T.が人で溢れる町を初めて歩くシーンがあります。そこで出会ったのがヨーダの着ぐるみを着た少年。もちろんE.T.には本物にしか見えません。

そこで「home!home!」と叫ぶのですが、この台詞がスターウォーズファンの心に火をつけたのです。実はE.T.とヨーダは知り合いなのでは?と。

この話には後日談があって、1999年公開のスターウォーズ ファントム・メナスにそのお返しとも取れるシーンが造られたのです。

大きな画面でないと確認出来ないかも知れませんが、なんとE.T.が出演しているのです!しかも3人!!先々行オールナイトでいち早く観てしかも見つけてしまった私は、狂喜乱舞してしまいました(笑)

詳しくは書きませんが、探してみて下さい。

次はキャストについて。

主人公エリオットを演じた少年ヘンリー・トーマスと、その妹を演じたドリュー・バリモアはしばらくの間ショービズ界から離れてしまいます。

この映画のヒットが強烈だったために様々な苦労が2人を襲うのです。

特にドリュー・バリモアは、若くしてアルコールに溺れたりドラッグに走ったりと、どん底まで落ちてしまうほどに苦しみました。しかしその後、見事に立ち直り、女優として復活しただけでなく映画のプロデュースまでこなしています(あの「チャーリーズ・エンジェルズ」等)。ヘンリー・トーマスもブラット・ピットやレオナルド・ディカプリオと競演するなど、復帰して今現在も素晴らしい活躍をしています。

もう一つの余談は、販売用DVDのみのお楽しみなのですが・・・

この特別版が世界初のお披露目をした時に、ある画期的な試みがされたのです。

それは・・・「試写会での生演奏」

これを知った時「観たかった!聞きたかった!」と本気で悔しがったのですが、なんとDVDにはその生演奏が観客の歓声と共に収録されていて、もちろんその音声で本編を観ることが出来るのです。

この演奏は大変だったでしょうね。何せ2時間ある映画、音楽が途切れる事は殆どありませんし、一回キリの上映。失敗は許されません。

どうです?音楽好きなあなた!観たくなりませんか?


今回は洋画のベスト1である映画のために、あまりにも長く書きすぎてしまいました。

なのでしばらくお休み・・・というのは冗談で、来年も変わらないペースで更新していきたいと思います!


さて2005年最初の作品は・・・

さだまさし監督・主演「長江」をお贈りしたいと思います。

この作品、総監督が市川昆(正確にはこの漢字ではないのですが・・・)音楽に服部克久、しかも劇場公開作品であるにもかかわらず長らくビデオ化されず、2001年にDVDという形で日の目を見る事になった名作です。

さださんは、祖父の過ごした中国を舞台に映画を撮るのが夢であり、その大きな夢を叶えた作品でもあるのです。そして、この映画を撮った事によって30億円という莫大な借金を抱えましたが、20年以上を経て見事完済したのです。

凄いことだと思いませんか?

とてつもない借金があっても何とかなる!暗い日本にそんな見本を示してくれた様な気がして、公的資金を使う事でしか会社を建て直せない社長たちに「こんな人間も居るんだ!」と教えたくなるような話です。

脱線してしまいました。ここでこれ以上書くと、コラムが成立しなくなるのでこの辺で(笑)


それでは、また。


1982年アメリカ映画(オリジナル版) 118分

2002年アメリカ映画(特別版)    120分

監督 スティーブン・スピルバーグ

音楽 ジョン・ウィリアムス

出演 ヘンリー・トーマス ドリュー・バリモア ディー・ウォレス ピーター・コヨーテ

0 件のコメント:

コメントを投稿